Fuat Keymanコラム:トルコで何が起こっているのか
2015年07月29日付 Radikal 紙
これほどまでに急ぎ足で透明性の低い時期を、今まで過ごした事がない。サプライズを孕んだ時期だ。さあ見てみよう…
6月7日総選挙後、トルコは「速度」と「不透明度」が最高レベルに達した時期を過ごしている。
これほどまでに急ぎ足で透明性の低い時間を、かつて経験した事がない。
命を奪われるには早すぎた若者たち、眠りから覚めることのない警官…。イスラム国(IS)との戦い…。アメリカとの包括的合意…。クルディスタン労働者党(PKK)/クルディスタン社会連合トルコ議会(KCK)に対する空襲…。国内各地での捜査、拘束、逮捕…。
すぐに選挙をやり直すか、連立を組むのか。振り子は毎日違う方を指している。
だがしかし、この二極的選択肢は、AKP-MHP連立政権があり得るかという問いが生じる段階となった。
何が起こっているのか?
理解することは極めて難しい。戦略を立てることも、あり得る選択肢の中から選ぶことも、だ…。
ここ一週間で大きく急変した、また「最新の」事態も含めた今の状況を整理してみよう。
少なくとも、6つの状況に対峙している。
一、トルコとアメリカは、インジルリキ基地の使用許可に留まらず、シリア北部への安全地帯設定や同地域からのIS一掃においても合意に達している。
二、トルコは、出遅れたかもしれないがすでに、対IS戦闘において最も重要かつアクティブなアクターのひとりであり、故に、今の状況の中では単独で「ストーリーを変える」特徴を持っている。
三、トルコは、ふたつの戦線で「非対照的戦争」をしている、つまり、一方でISと、一方ではPKK/シリア民主統一党(PYD)と一戦を交えている。これは初めてのことである。ISとの戦争は、本筋かつ長期にわたる戦争であるが、トルコがシリア問題を手始めに地域関係・外交政策を変える性質をもつものである。
四、アメリカ政府をはじめ各国際機関、NATO、国連、EUなど全てのアクターは、トルコの対PKK/KCK活動を非難しておらず、むしろ「合法的自衛活動」の一環とみなしている。ついにはマスード・バルザーニー(北イラククルド自治区大統領)までもがこれに近いコメントを発表している。
さらに全てのアクターは、トルコを支持する一方、「(クルド問題)解決プロセスの継続を」と言い、人民の民主主義党(HDP)に対する支援を続け、PKK/KCKには「武装闘争停止」というメッセージを送っている。
つまりはこうだ。トルコは初めて、アメリカ政府や国際社会の支持を得てPKK/KCKと戦闘しているのだ。選挙後、道義の重視がトルコに認められたのだ。
国際社会の支持や道義の重視は、PKK/KCKがトルコへ送った贈り物であると認めようではないか。
PKK/KCKは間違いを認め、戦闘停止しなければならない。PKK/KCKには、アメリカ政府の後ろ盾も、地域の[同調する]動きも、HDPの選挙における勝利もないのだ。
五、アメリカ政府や国際社会は、トルコを支持する一方、PKK/KCKとシリアのPYD/YPG軍との扱いを異にしている。シリアでISと戦闘をつづけるPYD/クルド人民防衛隊(YPG)と良い関係を保つよう要望している。ダヴトオール首相は、PYD/YPGに対して前向きなメッセージを送っている。
六、今回の流れを受けて、昨日NATOが会合を開いた。そして今日、トルコ大国民議会本会議は、緊急議題を議論する予定だ。CHPがこれを呼び掛け、AKPも承認した。アフメト・ダヴトオール(首相/AKP)とケマル・クルチダルオール(CHP党首)は、合意に向けた態度を示している。対IS戦争と議会問題について議論をすることが認められたのはとても重要であり、また、CHPはAKPとの連立合意に向け前向きな話し合いを持とうとしている。また両党は、外交政策においても問題解決へ舵を切ることもできるだろう。
政治について、合意と対話はこの二党によって進展がみられており、これは新たな初めての状況である。
6月7日総選挙後、トルコは駆け足で不透明な時期に入った。
選挙結果と中東問題は日々目まぐるしい展開を見せており、数多くの登場人物に囲まれ、様々な要素を抱え、リスクの高いこの状況を生んでいる。
週明けの再選挙の可能性が、週の中ごろには連立政権に代わりうる。
コラムニストのムラト・イェトキン氏は、本紙で今週、エルドアン大統領の選挙から今日までの政治的発言を評価する記事の中で、「サプライズに…[マジックのような]帽子から出てくる新しいうさぎに…心してください」というメッセージを送っている。
さあサプライズを孕んだ時期だ。さあ見てみよう…。
失なわれた命に心を痛める中、現状に暗澹たる思いを抱く中、立て続けに巻き起こる事件に目眩がする…。
さあ、次のサプライズは何だろう?
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翻訳者:池永大駿
記事ID:38304