2012年ロンドン・オリンピックで金メダルを獲得したアスル・チャクル・アルプテキン選手のドーピング問題に関し、実業家のアリ・アアオール氏は、当時賞として授与したアパートの返還を求めないことにしたという。
トルコのスポーツ界に初めてオリンピックの金メダルをもたらしたアスル選手。しかしその後ドーピングを行ったことを認め、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の決定を受け入れ、8年の出場停止が決定した。そして今度は、獲得した賞金からの一撃を受けることになる。トルコ政府から授与された賞金の返還が求められている。
■政府への返還は24万リラ(約980万円)の上乗せ
スポーツ総局は、アスル選手に授与した共和国金貨2575枚を、相当する金額で返還するように求めている。アスル選手は、(相場の上昇により)約24万リラを上乗せして返還することになる。
賞金として2011年と2012年にトルコ代表選手に授与された共和金貨一枚は、604~606リラだった。すなわちアスル選手は当時、約156万リラを手にしていた。
しかしながら、オリンピックが終わって今までの間、金の相場は大きく上昇し、共和国金貨一枚は702リラまで上がった。すなわちアスル選手は賞金返還のために約180万リラを準備しなければならず、当時の相場との差は約24万リラとなる。
一方、有力実業家のアリ・アアオール氏の「アアオール・グループ」は、2012年ロンドン・オリンピック後にアスル選手へ授与した高級アパートに関して、返還を求めないことに決めたと発表した。
■最大の問題は賞金システムにある
トルコ・ドーピング対策委員会のリュシテュ・ギュネル委員長によれば、ドーピング対策の最重要課題はきちんとした賞金システムであるという。アスル選手にドーピングの代償として8年間の出場停止が言い渡されたことで、ドーピングが再び問題になっていることについて、ギュレル委員長は「ドーピング対策のために、偉業を達成した際には、継続するかたちで(一度にではなく)賞金が与えられるべきである。ドーピングが起こった時は、必要なら強制没収という形で賞金の返還がなされる必要がある」とコメントした。
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翻訳者:今城尚彦
記事ID:38456