Ismet Berkanコラム:どこからどこへ、票は流れたのか
2015年11月03日付 Hurriyet 紙
公正発展党(AKP)がとった2370万票の20%、すなわち全得票の5分の1は、イスタンブルの3選挙区からでたものだ。さらに、AKPが6月7日に比べて増加させた480万票の21.4%にあたる130万票は、イスタンブルでの増加からきている。つまりイスタンブルは、AKPの勝利にとって致命的な重要性を有していた。見てのとおり、イスタンブルの3区のすべてでAKPの票は、大きく増えた。では、その源は何だろうか?
私のデータによれば、それには主に3つの源がある。その第一で最大のものは、5か月前の投票を棄権した人たち。第二は、6月7日の選挙では、幸福党(SP)や大統一党(BBP)をはじめ、「その他」のカテゴリーに入る党へ投票し、今回はAKPに乗り換えた人たち。そして最後は、HDPとMHPから離れた人たち。
AKPは、6月7日に比べ、イスタンブル第一区で7%、第二区で8.5%、第三区では8.2%増加させた。これらは非常に重要かつ、大きなものであり、前述のとおり、同党の全国的な驚異的な成功に大きく貢献した。
■CHPの増加の半分はイスタンブルから
このように、イスタンブルでの増票は、AKPの全国的な票の増加の21.4%を占めている。これに対し、CHPがイスタンブルでえた票の増加は、同党にとってより重要であり生命線をなしている。なぜなら、CHPが6月7日に比べて増やした票の半分はイスタンブルでえた増加だからだ。
そう、聞き間違いではないのです。
CHPは6月7日に比べ全国で59万397票増やした。うち、同党がイスタンブルで増やした票は、30万3794票だった。
■HDPの票はどこにいったのか?
6月7日以来、耳にしていた「都市伝説」は、HDPが、イスタンブルの一部地域の「Beyaz Turkler」(文字通りの意味は「白いトルコ人」。世俗的で生活スタイルをもつ富裕層をさす)の票を預かったが、11月1日には、その大部分を失うだろう、というものだった。
しかし、数字はそうは示していない。HDPは、6月7日に比べ11月1日に3区のいずれにおいても票を減らした。しかし、その全体の数字は、12万903票だ。
そのすべてがCHPにいたとしても、―ふつう、CHP支持者というのは「Beyaz Turkler」だと思われている―、CHPが増やした票は、これからだけということにはならない。
本当をいえば、おそらく、HDPの票の相当数が、再びAKPに戻ったのだ。
CHPにいった票は、数の上でもパーセントの上でも、限定的なものだろう。CHPの(増えた)30万3千票の源は、6月7日に棄権したか、他のマージナルな党に投票していた人の票だ。
■MHP、激減
HDPは、6月7日にイスタンブルでえた106万9千票の約12%を失ったが、MHPの喪失は15%に及ぶ。MHPが、全国で6月7日に比べ24%減らしたことを考えると、イスタンブルでの減はましな方だとさえいえる。
イスタンブルでのMHPの14万6200票の減は、おそらく、AKPとCHPが分け合った。もちろん、党に不満をもつMHP支持者が他の政党に入れず棄権をした可能性もあるが、イスタンブル全体では投票率は増加しているので、MHPを離れた支持者がそのような行動にでたかどうかは、わからない。
■「その他の党」の惨敗
興味深いことに、11月1日の選挙を、有権者は、一種の「第2ラウンド投票」のように受け取っていた。6月7日には、イスタンブル第一区で6.24%をとっていた「その他の党」の得票率は、11月1日には2.24%に落ち込んだ。つまり、ここからでてきた4%もの票がある。
第二区でも状況は同じだ。6月7日に「その他の党」の得票は5.95%だったが、11月1日には3.31%となった。つまり、2.5%が減り、大政党へ流れた。
そして第三区。ここでも6月7日に「その他の党」は6.14%をとったが、11月1日には2.1%となった。ここでも4%が「その他の党」から逃げた。
つまり、この「その他の党」からの票が、AKPとCHPの増加の源の一つだ。もうひとつは、前回の選挙を棄権した人たち。
■「その他の党」の票はどこへ
以下の分析がいかなる「代表性」も持たないことはよくわかっているが、本紙のバージュラルにある本社に近い学校、つまりファーティフ小学校に作られた1050番投票所の票は、私には、大変興味深いものだった。
6月7日には、この投票所では、5票の無効票を含む326票が投票された。11月1日には4票の無効票を含む328票が投票された。6月7日には、「その他の党」に入る幸福党、HDS、HLPに、9票が投じられていた。しかし、今回はゼロだ。HDPは30、MHPは9票を失った。これに対し、AKPは32、CHPは19票を増やした。どこからどこにどれだけ移ったのか、考えてみてもらいたい。
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翻訳者:和泉由美子
記事ID:39085