Murat Yetkin コラム:外交政策、見直しのとき
2016年03月04日付 Radikal 紙
アフメト・ダウトオール首相の、3月4-6日のイラン訪問、それに続く2つの訪問は、直近の中東どころかアラブ問題に過剰に関与する様相を調整し、見直し、多様化するモデルとなりえる。
アラブの春、反乱が始まったここ5年のトルコ外国政策で生じた問題は明白である。
現在、トルコがシリア内戦にこれ程嵌っており、在エジプト・在イスラエルトルコ共和国大使が残っておらず、過激イスラム主義テログループへ支援しているとの非難にさらされ、ロシアとの緊張状態、といった仔細には踏み込まない、ご存知でしょうから。
事態の展開は、政府に外交政策で損害を評価し、見直して、新たな方向性へと余儀なくしている、そのことをはっきり受け入れてなくとも。
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ダウトオール首相の3月4-6日のイラン訪問、それに続く2つの外訪も直近の中東どころかアラブ問題に過剰に関与する様相を調整し、見直し、多様化するモデルとなりえる。
イラン訪問は、時期という点では、イランとの核合意、及びこの合意を実現させた穏健派の勢力拡大をもたらした選挙後に行われる、首脳レベルでの初めての訪問となる。
政府は、当然、イラン訪問がトルコに経済・貿易での結び付きをもたらすという面を強調しているが、この進展をささえるのは政治関係の正常化である。
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これまで、イランとの関係は常に浮き沈みがあった。
ただ、シリア内戦では、トルコとイランは相対した。イランは、革命防衛隊及びレバノンのヒズボラと共にバッシャール・アサド政権を支援する一方、トルコは、初めからアサド政権打倒に努め、流行りの言い方で「穏健な」反体制派に積極的な支援を与えた。
イランがロシアと組み、その上ロシアに対し、シリアにおける軍事プレゼンスを高めるよういわば説得し、緊張を高めた。政府によると、この動きには、民主統一党(PYD)-人民防衛隊(YPG)を通じて進めるPKKの様相もあるとのことだ。
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ダウトオール首相の外訪では、シリアが議題となるだろう。
更に、サウジアラビア主導で設立された「イスラーム連合」は、公式にはイスラム国及びヌスラ戦線と戦う意図を持っても、リヤドによる「反シーア派勢力拡大」構想の下で設立されているという問題もある。
トルコは、この同盟に加わっているが軍事面には関与せず、米国主導の対イスラム国連合やNATOの枠組みにとどまることを選択した。
おそらく、イランは本件も扱うだろう。
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以前述べた通り、政治的正常化は、経済面で期待される目標に到達する道を開く。
ダウトオール首相によるイラン訪問前、テヘランに向かうトルコ商工会議所連合(TOBB)代表団のリファト・ヒサルジュクルオール会頭が発表した観察もこのことを示している。
さもなければ、ダウトオール首相が強調した通り、米国がイランに対し制裁措置を取る一方、トルコは(大体の場合、米国を説得しながら)この制裁措置に同調しない珍しい国家である。
勿論、この状況を、トルコが自国のEUへの交易ルートに部分的に重なっていることをわかっているイランの政権も見ている。
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ダウトオール首相はテヘランより帰国後3月7日にはブリュッセルにいる。
ブリュッセルでは、難民の抑制、トルコとの関係活性化を含む法案について、EU首脳との重要な会議に参加する。
EUの本件対応における重要な役割を、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が担う。
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その翌日、ダウトオール首相は、「ハイレベル協力会議」のため、ギリシャのアレクシス・ツィプラス首相をイズミールで迎え入れ、エーゲ海で新たに始まったNATOの警備から不法移民の規制までの諸案件を話し合う。
これらは、冒頭で述べたとおり、近年アラブ問題に過剰に関与してきたとみられるトルコの外交政策において、損害を評価し、見直し、多様化する方向を探るサインである。
特に、EUとの関係が再び活発になれば、トルコの顔を再び西側に向けるためのよい機会となる。経済にもプラスに働く。
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翻訳者:山根卓郎
記事ID:39979