Murat Yetkin コラム:難民密航を10日で終わらす方法?

2016年03月12日付 Radikal 紙
とある政府関係者が、「もしトルコとEUが、不法移民の流入に関する、またトルコとEUとの関係を活性化させるような合意をすれば、現在の難民密航という鎖を“1週間、遅くとも10日以内”に断ち切ることが
可能だ」と述べている。


匿名で語った政府関係者は、EUとの間で行われている会談について知る、数少ない人物の1人である。
恐らくこのために名前を伏せたまま話しているのだろう。
しかし彼の発言は非常に説得力を持っており、また現在のバランスを変えうる内容である。

彼が言うには、もしトルコとEUが、不法移民の流入に関する、またトルコとEUとの関係(ビザなしの旅行を含め)を活性化させるような合意をすれば、現在の難民密航という鎖を“1週間、遅くとも10日以内”に断ち切ることが可能である。
彼はまた、このことに関して唯一の条件が、EUとの政治的合意を結んだ後で、トルコとギリシャが“安定した法的土台を形成するような”合意をすることであると述べている。
EUとの政治的合意が確かなものとなった際に、ギリシャとも合意を取り付けるため、「我々の提案はこういったものだ」と、説明を始めた…。

「アフメト・ダヴトオール首相が持ち出した新たな提案について、EU内で白熱した議論が始まった。我々はこれを注意して見守っている。彼らは我々に、新たな提案をもって来得る。そして我々は、それらについて議論する用意がある。我々の目的は、何よりもまず人道的であることだ。トルコ沿岸を、エーゲ海を、難民たちが密航業者の手で死に向かう場所として想起されることを、まずは終わらせなくてはならない。難民密航業者たちに対して結成されたNATOの沿岸警備隊に、ギリシャ海軍に加えて我々も参加していることは、我々の誠実さの表れである。

EU、そしてギリシャとの合意が確かなものになれば、トルコ沿岸からギリシャが定めた島々(現在の段階では5つのメインとなる島がある)に密航したすべての難民を、シリア出身であろうと、あるいはほかの場所から来ていようと、引き取ると発表しよう。このためには、トルコとギリシャの移民局が、トルコの沿岸部でも、ギリシャの島々でも協力する必要がある。

さらにもう一つ条件がある;(両国間の)合意が施行される日まで、ギリシャのその島々に、1人たりとも難民が残っていないことが必要だ。そうすれば、トルコはその合意施行日以降、密航難民たちを引き取ると約束できるだろう。この条件下で、合意施行以降に島々に行ったすべての難民たちをフェリーボートでに集め、チャイやコーヒー、食料といったものを提供しながら、最良の形でトルコ領土まで連れて来よう。これにかかる費用については、EUが負担する ことになる。

シリア難民のためには、また別の手続きとプロセスが適用される;彼らを内戦下にあるシリアに送り返すつもりはない。トルコは難民キャンプに彼らを受け入れることができる。難民たちの親戚が(別の場所に)おり、彼らのそばで過ごすことを望む人々もいるだろう、しかしすべては国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)との協働で対応していくことを考えている。UNHCRとも、もともと話し合いを進めている。例えばソマリア、アフガニスタンをはじめ、他の場所から来ている 人々については、UNHCRの原則に従い、彼らを飛行機に乗せて自国に送り返していく。

この計画について双方が合意し、施行することができれば、密航難民という鎖を1週間、遅くとも10日以内に断ち切ることができると考えている。
なぜなら、(密航難民の)メカニズムは次のように作用している:密航移民たちがEU諸国に到達した際、彼らの出身国にいる親戚たちに連絡する。そしてこう言う、トルコに行け、イズミルでも、バスマーネでも。そして誰かを見つけるのだ、350ドル以上は渡すな。2時間後、お前はEUにいる;鎖はこのようにして繋がっている。
しかし、トルコ沿岸からギリシャの島々に向かうすべての難民がすぐに送り返され、EUに到達することはできないと知られ始めれば、こういった情報はあっという間に知れ渡るものだが、そうすればこの密航という流れはすぐに誰も望まないものとなる;当然、安全予防と共に、である。我々はこの計画が適用され、成功する可能性があると考えている。」

繰り返し述べておかなくてはならない、この計画の前提条件は、トルコとEUが合意に到達することである。トルコから見て、難民の圧力をEUの資金でもって軽減することに加え、その合意の重要なポイントがあと2つある。
1つ目は、周知のとおりビザなしでの渡航である…。そしてもう1つは、特に南キプロス・ギリシャ政府が妨げとなっている(EU加盟のための)いくつかの項目に関する交渉開始だ。
このためには、ドイツをはじめ自由な移動が可能なEU諸国と、おそらくギリシャの、ニコシアのギリシャ人の力を利用する必要が出てくるだろう。我々が、これができるかどうかを見るためには、少なくとも3月18日にブリュッセルで行われる会談の結果を待たなくてはならない。


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翻訳者:木全朋恵
記事ID:40032