Fuat Keyman コラム:PKKとISの脅威の下の、トルコ
2016年03月23日付 Radikal 紙
PKKとIS、衝突し合うこの二つの組織には、大きな類似点と共通点がある。
我々が何に直面しているのか理解するためには、この共通点を分析する必要がある。
イスタンブルで起きたISによるテロについて執筆にとりかかろうとしたそのとき、携帯電話にメッセージが届き、目の前のテレビに速報の大きなテロップが流れ始めた。
またテロが起きた。またISだ。今回はブリュッセル。空港と地下鉄で爆発があった様子。死者、負傷者、恐怖で顔を強張らせた人々・・・。
テロはこの国だけでなく、至るところで起きている。
パリ、ブリュッセル。テロがヨーロッパの他の都市に拡大していく危険性は高く、その(訳補:国家を超えた)「地域的-国際的な側面」に注目しなければならない。それについては後ほど触れる。
ISがイスラエル人観光客を標的に実行したイスタンブルでのテロは、アンカラで36人の命が奪われたPKKによる二回目のテロから1週間後に起きた。
トルコは、その存続、その国民、その国家、その政府を脅かす攻撃、テロに包囲されている。PKKのテロを追ってISのテロが、ISのテロを追ってPKKのテロが起きる。
彼らはアンカラとイスタンブルを攻撃している。
トルコの中心、心臓部を狙っている。
国家と国際都市を襲撃している。
PKKとIS、ISとPKK。彼らは次々とテロを実行し、トルコを包囲し、混乱に陥らせ、内に篭らせようとしている。トルコは「危険な国」であるというイメージを世界中に広めようとしている。
アンカラでの2回目と3回目のテロ、イスタンブル(スルタンアフメトとベイオウル)での1回目と2回目のテロ。IS‐PKK‐PKK‐IS・・・。
衝突し合うこの二つの組織には、大きな類似点と共通点がある。我々が何に直面しているのか理解するためには、この共通点を分析する必要がある。
①両者とも自爆テロや爆発物を搭載した車両により攻撃している。
②両者とも一般市民、何の罪もない人々を標的としている。
③両者とも非常に強力な爆発物を用い、より殺傷能力の高い手法を選んでいる。死者が多ければ多いほど、自らの影響力を高められると考えている。
④いずれの攻撃も「シリア危機」を中心に発生している。
⑤PKKとISは、州もしくはイスラム国家の形で「建国」を、少なくとも特定の地域に「支配体制を確立する」ことを目指している。
⑥両者とも、近年、国家と支配体制の確立のための戦闘や衝突の中で、敗北や弱体化に直面している。このため、繰り返しテロを実行し混乱と恐怖をもたらすことで権力を高めようとしている。
⑦いずれも、混乱と恐怖をもたらす目的で、様々な方法を用いテロによる襲撃を継続しようとしている。
テロはトルコだけでなくヨーロッパやアメリカでも発生していることを強調しておこう。
最近では、アンカラ、イスタンブル、パリ、ブリュッセル…。
混乱と恐怖を、地方、国家、地域、国際的な規模で巻き起こそうとしている。
標的はトルコだけではない…。
シリア‐トルコ‐フランス‐ベルギーはテロの軸で繋がれている。
アメリカもISの攻撃を受けた。
ドイツもここに加わりうる。
我々が直面しているのは、トルコに限定されない「新しいテロ」の現象と概念である。
シリアとイラクをはじめとし、キノコのように繁殖していく「崩壊国家」問題、そしてシリアを中心にイラクやアフガニスタンも含まれる「難民危機」、そしてテロと内戦による「暴力」が「戦争」と同様もしくはある状況下にはそれ以上に引き起こす「人間‐自然‐信頼性の崩壊」は、新しいテロの現象と概念を生み出した要因と見なされるべきである。
トルコとヨーロッパは、そのプロセスの真っただ中にある。アンカラとイスタンブルのテロの直後、昨日ベルギーでも、何の罪もない人々を標的にテロが起き、この状況がはっきりと見てとれる。我々は「リスク」、「不信感」、「不透明性」から成る時期の只中にいる。大きな挑戦と危機に直面している。
自らの利益と権力だけを考えた政治・国際関係の理解では、この挑戦に影響力のある返答をすることができない。
政治と国家の首脳をはじめとし、あらゆる国、地域、国際社会が、この挑戦に対し、混乱と恐怖に対し一致団結し、様々な差異の中で共生していきたいと力強く叫ぶときが来たのではないだろうか?
この記事の原文はこちら
翻訳者:篁 日向子
記事ID:40118