イランの土壌流出量は、アジア諸国平均の3倍

2016年07月11日付 Hamshahri 紙

 森林・草原地帯調査会の科学委員会のモハンマド・ダルヴィーシュ氏は、以下のように述べた。「国立イラン土壌科学会(Soil Science Society of Iran)の概算に基づくと、国の土壌流出の総量は、もっとも状態が良い場合で年20億トンと算出されるが、この量はアジア大陸(諸国)の平均の3倍にあたる。」

 イラン国営通信によると、ダルヴィーシュ氏は、概算の一部には、流出土の総量を46億トンとするものさえあると述べ、以下のようにコメントした。「もし流出土が20億トンであるとしても土1トンに28ドルの価値があることを鑑みて、およそ年560億ドルが、この土の総量の価値となる。」

 彼は以下のように述べた。「土壌流出量の増加原因の一つが、洪水である。土壌の流出に起因する洪水の発生とその被害は増加しており、表面浸食を防止する下層植生も失われてしまっている。」

 自然環境保護庁の市民互助事務局ダルヴィーシュ局長は、「帯水層の減少や、水源からの無計画な水の汲み上げのような様々な要因が、土壌の浸食や流出を繰り返す旱魃や砂漠化を引き起こしている」と述べた。

 ダルヴィーシュ氏は「実際のところ、我が国の一年間の砂漠の拡大に関する正確な数値は存在しない。しかしながら、実在する指標やパラメーターに従うと、一年に国の砂漠地帯は1%増加している。またその兆候として森林の植生域の減少、土壌の荒廃、地下水の水位低下が起こっていると言える」と述べた。

 彼は以下のように述べた。「一部の人々は、植樹とグリーンベルトの形成によって、砂漠化を防ぐことが出来ると信じている。しかし、実際のところ植林というものは専門的知識を以て行わなければならず、ある地域で植林を行い、数年に亘ってその地域を灌漑し、最終的に水源を枯渇させてまで、砂漠化の進行を抑えるものではない。」

 ダルヴィーシュ氏は以下のように強調した。「[訳注:ゴレスターン州の]ヒールカーニー森林地帯や、[イラン南西部に広がる]ザグロス山脈、[東アーザルバーイージャーン(アゼルバイジャン)州の]アラスバーラーン山脈のような天然の植生域は失われつつあり、保護することが重要である。なぜならば、そのような方策は、苗木を素手で植えて灌漑することよりも、はるかに優れているからだ。」

 またダルヴィーシュ氏は次のように述べた。「統計によるとイランの森林地帯1850万ヘクタールは、1330年代(西暦1950年代)から今日までに、1200万ヘクタールに減少し、つまり、650万ヘクタールの森林地帯が失われたことを示している。そして、直近の20年間で、1800万本の樫の木(天然の森林地帯であった650万ヘクタールの土地が30%を占めていた)が、ザグロス山脈から失われた。それゆえ、その自然環境の650万ヘクタールの中で、森林を定着させる方が良い。」

 彼は、イランは世界の乾燥地域を占めているとして、以下のようにコメントした。「我が国の領土の89.7%が、高乾燥帯、乾燥帯、半乾燥帯であり、降水量の平均値は、世界平均の3分の1であり、降雨蒸発量は50%以上にもなる。それゆえ、水源や土壌に対して人々の暮らしとのつながりが増えることは、このような国土の権利に対するある種の罪となる。」


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:TM
記事ID:40986