ついに待ち時間が終わり、最も権威ある世界的な映画祭の一つは、開催初日に3本の映画を上映し、パルムドール賞を受賞[訳注:1997年、受賞作品『桜桃の味 ṭa‘m-e gīlās 』]した唯一のイラン人映画監督の記憶と名声をたたえた。ヴェネツィア国際映画祭の人気者である監督は、過去にその特別大賞を受賞[1999年、受賞作品『風が吹くまま bād mā rā khāhad bord 』]している。
本紙によると、ヴェネツィア国際映画祭ディレクター、アルベルト・バルベラ氏は、第73回映画祭のプログラム発表の記者会見でこのイベントを約束しており、アッバース・キヤーロスタミー作品から2本の短編映画と、セイフォッラー・サマディアーン製作の76分15秒の映画の特別上映によって、映画祭の始まる夜に彼の記憶を復活させた。16分の白黒映画『テイク・ミー・ホーム marā beh khāneh bebar』と『24フレーム bīst-o-chahār fereym 』の企画の一部の上映は、観客から大喝采を受けた。
『アッバース・キヤーロスタミーとの76分15秒 Haftād-o-shesh daqīqeh o pānzdah ṡanīyeh bā ‘Abbās Kiyārostamī 』は、キヤーロスタミーの古くからの、そして永遠の友であり仲間であるセイフォッラー・サマディアーンが、キヤーロスタミー作品の制作過程と世界各地における彼の足跡をまとめたものであり、その初上映が今年のヴェネツィア国際映画祭となった。キヤーロスタミー監督の息子アフマド・キヤーロスタミーは映画の上映後、サマディアーンについて、自分の父親が安心してカメラに向かえた人物であると述べた。彼は、「父は普段、誰かのカメラの前に立つのが苦手で避けるようにしていましたから。」と語った。
サマディアーンもキヤーロスタミーのために制作した映画に関して、「今日、私は、キヤーロスタミーや彼との30年来の友情や協力といった思い出について一言も語るつもりはありません。私の記憶と心や魂の中に隠れている言葉はすべて、この映画のシーン全体にしみ込んでおり、もしそうでないならそれは私の至らなさのせいです。もしそうであるなら、必ずやキヤーロスタミーという存在のパワーを瞬間的にレンズの中に切り取ることができているはずです。この映画はそう作られているはずです。」と述べた。