Murat Yetkinコラム : ギュル前大統領の背後に隠れて
2016年12月05日付 Hurriyet 紙
前大統領アブドゥッラー・ギュルは、昨日、自分の名を冠してカイセリに建てられた博物館兼図書館の開館日である12月4日の前日、CNNトルコのインタビューで国政の将来という点から重要な言葉を述べた。
ハカン・チェリキの質問には表情に忍耐を保つため笑顔で「以前にも40回この質問を受けた。そして、私は『政治活動をやめた』と答えてきた。腹意をもつ周囲がこれを表明している。」
この質問を度々される原因は確実にある。
最後の波は、イギリスのトニー・ブレア元首相と行った会談とヨルダンで行ったスピーチが理由で高くなった。
興味深い側面は、むしろ政権寄りの政権側のメディアとソーシャルメディアで、ギュルのこの会談が「国外とのつながりを使って新しい政党を作り、公正発展党を分裂させ、エルドアンを転覆させる」という形でターゲットにされていることである。
ギュルも恐らくはそのためにCNNトルコのインダビューで「私はこの地の人間である。我々自身の価値観を信じる人間である。… 政治の世界に戻ったとしても、西側やヨーロッパ、その他の国からではなく、自分たちの民から支持を得る」と述べた。
ギュルの「どのように政党を作るかを知っている」という発言は、このように解釈しなければならない。つまり、「政党の作ることを知らないわけではない、以前には作った、作るつもりがないから」と。
しかし、この言葉でさえ、一部の政治家には新たな欲求を出したと認識されている。
自分の名を冠した博物館の開館をほぼ40年間共に歩んだ大統領のエルドアンが行うよう(ギュルが)望んだことも、そうした人びとは見たくないのである。
政界に戻らないという発言を考慮していないのである。
しかし、次のような例を私たちは経験した。開館前日にメディアでの宣伝の時に。
博物館兼図書館のキュレーターであるハサン・ビュレント・カフラマンは、若い世代に政治に関心を持たせて、熱を持たせるためにコンピュータゲーム機も作ったと説明した。
政治学者のアクン・ウンヴェルによって作られたゲームには、「どのように大統領になれるか」という名前が付けられた。
2から6人のプレーヤーが、ゲーム上で時の選挙民の要求を決定し、決められた予算で要求に応えるようと努め、その後は集票のために努力する。 得票数はゲーム機が決める。
私としても面白い考えだと思う。
同僚は、「あなたもゲームをしたのか」と質問した。
ギュルは、「していない」とためらいもなく答えた。彼は一度勝利した、実生活において勝利した大きな競争は、ゲームだとしても負ける可能性はあるからだ。
少し間をおいて、「そして、どの大統領にもゲームをおすすめしない」と笑いながら話した。
ギュルは外務大臣、首相、大統領のような最上位の職を務めた後、自分の名前を帯びた博物館を作り成熟期に入った一人の政治家である。
昨日の開館セレモニーに3人の大統領、元大統領、首相、国会議長が出席した。さらに、エルドアンのプログラムが予期されていたため、僅か10から15日程度といった外交上、非常に短期間といえる期間で招待客は招待状を受け取った。そして雪の降る日にカイセリに降り立った。
ギュルは、大統領と首相だけでなく、野党の政治家、市民団体の代表、外国の政治家といった様々な人々と会い意見を交わすことができている。
現在、ギュルはこれらを投げだして、一軒一軒を回って票を集めて、議会で他の議員との喧嘩に戻るだろうか。
さらに、40年来の同志であるエルドアンに反旗を翻すだろうか。エルドアンが7月15日のクーデターを未遂に阻止したのち権力の頂点にある時期に...。
そして政界復帰を何のためにするのだろうか。国政をさらに分裂した状態に持ち込んで批判されるためになのか。
私の理解している限り、ギュルは国が非常に難しい統治の危機に陥り、彼自身も例えばド・ゴールのような(強力な)大統領職を金のお盆の中で提供されたとしても、何度も何度も考えずには受け入れないだろう。もし、国がそのような危機に陥る場合、望まれた場合にはもちろん。
さて、ギュルが望まないことを、「40回」言ったことを、誰が何のために欲したのか。
この望みの大部分は公正発展党内部でエルドアンの高圧的な性格に抑止することを望むが、自分自身でこれを行うことを憚り、ギュルの背後に隠れていたいと望む者達であることは、アンカラの政治家たち皆が知る秘密である。
同様に公正発展党の外でも自分たちの政治力を信じる代わりに、公正発展党が分裂するのを待っている人、ギュルがそれを実現できると考える人々もいる。
私の見る限り、ギュルもこれらのことを理解している。
私が見る限り、彼には新しい政党を作って政界に戻るという意図も計画もない。
彼の発言を真摯に受け止める必要はある、ギュルの背中に隠れてエルドアンと対立しようと努める人々を視野に入れることは、政治が健全に進むという点では好ましい。
博物館兼図書館については…。
以前にはウムルベイでのジェラール・バヤル、イスラムキョイでのスレイマン・デミレルといった例がある。アブドゥッラー・ギュルのものは、さらに現代的、訪問者・利用者目線で作られている。
彼の博物館兼図書館は、ギュルの政治家としての歴史だけでなく、現代トルコ政治史も絡めた形で説明している。
拡大も容易である。例えば、7月15日のクーデター未遂といった部門も追加される予定である。
図書館は1万8千点の書籍や資料で始まる。
博物館兼図書館は、共和国の最初の産業施設であるスメルバンク織物工場の長い間使われていなかった動力部門の建物を修理・整備して作られた。
開館セレモニーで建物を建設したロシアの建築家が忘れられていなかったことは評価できるが、その工場を貧困のなか建設させたトルコの創設者である大統領ムスタファ・ケマル・アタテュルクの名前も触れられていれば、なお評価できたが。
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翻訳者:新井慧
記事ID:41703