【イラン・オンライン】多くのイラン国民同胞らの参加によって、「キュロス大王の日」に史跡パサルガダエで開かれた記念式典に対し、複数の反政権派〔※保守強硬派のこと〕のメディアは否定的反応を示している。〔‥‥〕
政権に批判的なメディアは、主に皮肉めいた口調で、上記の記念式典に多くの人が集まったことを批判した。一部は〔キュロス記念式典に対する人々の〕こうした歓迎ぶりを、いわゆる王党派による政治的な動きとして指摘し、また別の一部はキュロス王の誕生日および戴冠日は明らかになっていないとする主張を掲げて、こうした式典開催の動きは迷信に満ちたものだとアピールした。
アーバーン月7日(10月28日)はハカーマニシュ(アケメネス)朝のキュロス王を記念する日となっており、数年前からイラン国民同胞らはパサルガダエにあるキュロスゆかりの史跡を訪れては、キュロス記念日を祝ってきた。
政府の政策に対して厳しい見方をしてきた、あら探しを常とする某新聞は、式典の様子を次のように歪曲して伝えている。
このグループは今年もパサルガダエに集まっていたが、そこでは目を疑いたくなるような驚くべきことが起きていた。なんと、一部はキュロスゆかりの墳墓の前で人種主義的なシュプレヒコールを上げていたのである。そればかりか、偽善者たち〔※反体制派、特にMKOを指す〕やVOA(ボイス・オブ・アメリカ)テレビなどは、全身全霊でこの集会を応援する姿勢を示し、その様子を伝える短いビデオクリップからは、パフラヴィー体制を支持する王党派的なシュプレヒコールすら聞こえてくるのである。
同紙はまた、複数の芸術・テレビ関係者らがキュロス記念式典を歓迎する姿勢を示していることに対し、皮肉に満ちた抗議の声を上げ、次のように伝えている。
ところで一部の有名人も、写真や文章、映像などを公開して、この非公式の日〔※1〕について伝えている。〔‥‥〕そうしたものの中でもっとも興味深いものとしては、某有名テレビ司会者のインスタグラムが挙げられる。テレビ司会者のアブドッレザー・アミールアフマディーはインスタグラム上の自身の個人ページに掲載した写真へのキャプションで、「ズルカルナイン」閣下の名に触れ、「アル・ミーザーン釈義」にもとづいてズルカルナインとはキュロス大王その人だったとした上で〔※2〕、キュロスの墳墓を訪れるときに唱えるアラビア語の祈祷の言葉を作詩しているのだ〔※3〕。
※訳注1:「キュロスの日」は「原子力技術の日」のような国の公式カレンダーで認められた日ではなく、あくまで民間レベルで祝われている日である、ということ。
※訳注2:「ズルカルナイン」はコーラン(18:83-98)に出てくる「二つの角をもつ者」という意味の言葉で、これが誰を指すのかは不明なものの、アレクサンドロス大王を指すとする解釈が一般的。「アル・ミーザーン釈義」はイランのイスラーム法学者アッラーメ・タバータバーイーが著したコーラン注釈書のこと。
※訳注3:シーア派信徒はイマームやその子孫などを祀る聖者廟を参詣する際、それに合わせた祈祷の言葉を唱える。ここで記事は、アミールアフマディー氏がキュロスをシーア派の聖者であるかのように扱っているとして皮肉っている。