Aslı Aydıntaşbaşコラム:ヨーロッパとの軋轢は誰にとっても好都合

2017年03月14日付 Cumhuriyet 紙
この軋轢において「正しい」者は一人もいない。しかしヨーロッパとの間に生じた悲劇は誰にとっても好都合だ。

アンカラは、トルコ人関係者らの国民投票選挙遊説を中止したヨーロッパに対し、日に増して厳しい言葉で圧力をかけ、投票まで1ヵ月を残した今、国家主義者層に「賛成」票を集める機会を見出している。
ドイツで中止されたあらゆる集会が、オランダに着陸しなかった全ての飛行機が、「賛成」キャンペーンをまたひとつ強化している。「殴って喚かせろ、ヨーロッパは聞くがいい!」というスローガンのもと7月15日以来ずっと唱えられている、「全世界が私たちの敵だ」、「世界中の国が一緒になって私たちを滅ぼそうとしている」といったテーマは、世論で日々アップデートされていっている。

現在の軋轢はヨーロッパの人々にとっても有益だ!
オランダでは来週、ドイツでは秋に選挙がある。両国における反難民・反イスラム政党の台頭は現政権に圧力をかけている。タイイプ・エルドアン大統領はヨーロッパ全土で好ましくない人物で、エルドアン大統領との論争とは即ち「見よ、私たちはトルコに寛容な態度を取ったりしないぞ」と言うことであり、得票における保険となっている。

どこからどこへ行こうとしているのか。2005年、手に「賛成」のプラカードを持って、欧州議会でトルコと完全加盟交渉プロセスが始まったヨーロッパで、今では誰もがトルコから大慌てで逃げている。一緒に写真に写らないように、共同サミットを行わないように、断固とした態度をとる。「見ろ、私たちはトルコを止めたぞ」という態度で選挙に勝利しようとしている。
今は両者とも間違っているまったく無責任な暴論が生じているため、トルコ-ヨーロッパの関係において、いつか選挙が終わったとき、再び対話が必要になったとき、「ソフトランディング」は容易ではないだろう。アンカラのEU加盟という夢はもはや既に終わっている。しかし、加盟の代わりとなると考えられる、両者が熱望している「関税同盟の更新」さえも困難になっている。
こうしてヨーロッパと私たちの間の唯一のつながりは難民協定となるだろう。金はやる、難民を養えと…。

ヨーロッパにもトルコにも言いたいことがある。
ヨーロッパよ!まず、私たちがトルコで表現の自由の侵害を批判している中、紙面上であれ、君がEU加盟候補国の政治家が話すのを妨害するなどとんでもないことだ。
トルコで深刻な独裁化が起こっていることをやっと知ったのか?なぜ突然に、トルコの人権侵害を問題にするようになったのだ?2015年の半ば以降、トルコではとても深刻な事態が起きている。人権侵害は枚挙にいとまがない。何十人ものジャーナリストが刑務所にいる。お前は昨日までこれらのことに声を上げなかった。この2年でトルコがどんどん悪くなっていく中、お前は立派な椅子にかけて難民協定を追いかけていた。何ということだ、お前は今ごろ目覚めたのか?これがヨーロッパの選挙と無関係だなどと、いったい誰が思うだろう?

もちろんドイツや他のヨーロッパ諸国が、トルコの二極化と危機的な政治が自国に、町々に伝播するのを防ぎたいと思うのは理解できる。トルコの神経過敏な政治傾向を自国に取り入れたいなどと誰が思うだろう?しかし必要なのは、はじめから決断し宣言することだった。お前はここで選挙集会を開くことができる、あるいはできない。このどちらかだ。駐車場がないだの、非常階段が狭いだのといったごちゃごちゃした言い訳は不誠実で間違っている。

2つ目は(トルコ)政府に対してである。お前は一貫性が全くない。トルコでほんの少しの政治の自由すら許していない。反対派をテロリストであるとして告訴し、手に武器を持った男たちに、反対を投じようとしている者たちを脅かすのを許している。HDP(人民の民主主義党)のセラハッティン・デミルタシュ党首と「反対」キャンペーンの顔となるメラル・ダヌシュ・ベシタシュ副党首を刑務所に入れた。
メディアに目を開かせず、「やかましい音を聞きたくない」と、メディア後援者に指示を出している。
そして翻って、ドイツに民主主義を教えている。
こんな競争でよいのか?言葉を選ばずに言おう。「これほどの圧力があれば私の父親でも選挙に勝利するだろう。しかし私の父親は、こんな残酷さは受け容れられないくらいに良心的な人間だ。」


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翻訳者:金戸 渉
記事ID:42297