Barış Dosterコラム:アンカラ・ソチ合意ー勝者と敗者
2019年10月26日付 Cumhuriyet 紙
トルコはこの数日でシリア問題解決及び「平和の泉」作戦に関することとして、まずアンカラでアメリカと13条に及ぶ合意を、その後ソチでロシアと10条の合意を締結した。これらの合意により、トルコはシリア北部で行った軍事作戦をロシア及びアメリカに承認させた。そして、PKKは以下のPYDとYPGのテロ組織らを国境線から32キロメートル以南へ撤退させることに成功した。しかし、テロ組織に対し大国が支援を行うことを止めることはできなかった。結果、テロを完全に無力化させるまでには至らなかった。
当該地域への大国の関心やトルコの国家としての能力、そしてシリア体制の抵抗を念頭に置き、今後の進展について評価してみたい。
1:ロシアと締結した合意は、アメリカとの合意に比べよりトルコを支持する内容であった。
2:アメリカとロシアいずれも、PKK配下のPYD及びYPGといったテロ組織をさまざまな根拠やさまざまな手段及び方法で支援している。二国ともトルコがシリアに軍隊を配置することを歓迎している。「平和の泉」作戦開始時は反対を表明していたが、若干範囲は狭まったものの、安全地帯の設置を承認した。
3:トルコは軍事作戦を行ったことにより、国連での憲法制定交渉のテーブルでより強い発言機会を得ることができた。
4:世界各国は、いまだロシアがシリアにおいて強大な影響力を持っていることを認めている。ロシアのシリアに対する影響力は強まったが、アメリカの影響力は低下した。
5:シリア問題に対し、トルコ・ロシア間の協力関係がより進展した。ロシアはトルコのエネルギー政策を始めとし、防衛政策や外交においても影響力を強めた。
6:シリア体制側が領土内における支配地域を拡大した。
■シリア政府との関係確立の重要性
7:アメリカがトルコに対して発令した制裁措置は撤回された。
8:アメリカもロシアも、PKK配下のPYDやYPGといったテロ組織に対する支援を放棄することはないようだ。この二国によって、テロ組織は安全地帯以南へ撤退した。2つの大国は、トルコがテロ組織へさらに大きな打撃を加えることを阻止した。
9:アメリカはシリアから短期的に撤退することはないこということが、改めて合意された。
10:ロシアは、シリアの一体構造に関してトルコやイランほど関心を寄せてはいないこと、自治政府や連合政府を含む解決策に対して反対ではないことが明らかとなった。
11:政府は、シリアの独立性や全体性、主権、及び政治的統一を守るための唯一の方法がシリア国家との交渉であるということを、遅ればせながら受け入れ始めた。最終的に、最大500万人にのぼる一時的保護状態にあるシリア難民らの内、少なくとも3分の1は国へ移送されることにより、シリア政府との関係確立が認められた。
12:帝国主義に支援されたPKK配下のPYD並びにYPGといったテロ組織らは、アメリカなしでは存続できないことが改めて確認された。
この記事の原文はこちら
翻訳者:指宿美穂
記事ID:47911