イスラーム指導省の禁書目録にあるコーリン・フーヴァーの著書
2019年12月21日付 Hamshahri 紙
イスラーム文化・指導省書籍読書推進委員会は、ある小説を不認可かつ出版禁止のリストに新たに追加した。
メフル通信によると、コリーン・フーヴァー氏の作品である小説『私たちでそれを終わらせる』【訳注:原題It Ends With Us , 2016出版】は、アモウト出版から自身の21番目の作品を出版準備中のアルテミス・マスウーディー氏の翻訳であるが、イスラーム文化・指導省書籍読書推進委員会の命令で、同委員会の認可取り消し作品リストに追加された。
同出版社は、 SNSの自身のページでも、またメフル通信の記者との電話インタビューにおいても、この事実を認めた。これにより、宣告を受けた当該出版社は、再出版にあたっての再審査のためにこの作品を提出しなければならないことになり、それまではこの作品の出版は見送られるだろう。
『私たちでそれを終わらせる』は、”It ends with us”という原題でアメリカの作家コリーン・フーヴァーの作品である。コリーン・フーヴァー氏は、ニューヨークタイムズによると2012年に最初の小説を出版して以降、全ての小説がベストセラーとなっている。
この本の物語はリリーという23歳の少女についてであり、彼女は、父親と複雑な関係があったが、父親の死去により、彼女の母親の意向で父の葬儀でスピーチをしなければならなくなった。リリーは彼女の父親についてスピーチした。「彼の娘としては彼のことが大好きでしたが、一人間としては彼のことが嫌いでした。」そしてリリーが彼女の父親のことを嫌う理由は、彼が怒ると彼女の母親を殴るからであった。確かに彼女の父親はそのあと自分のしたことを償なおうとするが、根本的な問題は解決しないままで、この問題はリリーに大きな影響を及ぼす。
葬儀でのスピーチのあと、リリーは嫌な感情に気づき、さまざまな感情を解消するために屋上に避難する。リリーは屋上のふちに立ち、下をみつめる。死について考えるも、自殺する意思はなかった。続いて脳神経外科医であるライル・キーンケイドが屋上にやってきて、建物のへりに立っている少女を見ると、少女が自殺しようとしているのだと思い、話すことで彼女を愚かな行いから思いとどまらせようとする。愚かな行動に出るつもりのないリリーもまたライルとの会話を始め、庭園の屋上での不思議な出会いが、一つの恋と複雑な関係のはじまりとなる。
ここ数か月ではユヴァル・ノア・ハラリ【訳注:イスラエルの歴史学者。2011年出版『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』は30ヵ国語に翻訳され世界的なベストセラーとなった。】の著書の一作品やエリフ・シャファク【訳注:トルコ系英国人作家。女性人権活動家】の著書の一部もまたこのような結末に直面する事態に陥っている。イスラーム文化・指導省書籍読書推進委員会委員長に対し一か月前からメフル通信がこの分野と類似の問題について返答するよう度々要求しているが、返答を保留している。
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翻訳者:NM
記事ID:48448