Didem Özel Tümerコラム : 公正発展党、イスタンブル協定から撤退の準備
2020年08月03日付 Milliyet 紙
公正発展党は、ここ暫く議論され、イスタンブル協定として知られる「女性への暴力とDV防止及び対策に関する欧州評議会協定」に関して大枠で決定を下した。2月にエルドアン大統領が国会議員と集って議論した際に、再度取り上げられ、ここ三四回の党中央執行委員会で議題となったイスタンブル協定に関して、「撤廃すべきか、議論すべき項目について解決を見つけるか」との問いは、党内で「撤廃しよう」という答えとなった。このことが7月14日に行われた党中央執行委員会で決定されたとみえる。なぜなら、撤廃が大統領の署名入りの大統領令で実施されると話題にされていたからである。これに対して、[この決定の]伝達に際し警戒したのは、エルドアン大統領がその時点から現在まで様々な評価や示唆に配慮した可能性にある。なぜなら過去の例があるからである。
■強制的な決定
私が接触を行って受けた印象は、党内で廃止決定を下すことは簡単ではなかったということである。ある人物に考えを問いただした際に、公正発展党にとって、長い間イスタンブル協定ほど党内で時間を要し激しい議論の原因となり、合意することが難しい問題はなかった、と発言した。党所属の女性たちのほぼすべてに近い人々は、議論に際して協定撤廃の「抵抗」勢力となった。党内の女性たちが発言の中で抵抗を示し訴えたことは、党執行部の男性を驚かせたと言える。しかし、公正発展党所属の女性達は「反対意見を」表明したとしても、最終的に過半数に至った廃止決定に従うものと理解される。
他方、イスタンブル協定を廃止した際に女性組織を筆頭に内外あらゆる層、野党から「強力な」反対を受けることを知りながら、新たな問題・議論の発生も甘受するとして判断を下したものとみられる。しかし、公正発展党は、自身の政権期にトルコが最初に調印し、そのために称賛された「女性への暴力対策法」の根拠となるこの協定から手を引いた際、もはや票を集めることが困難である都市部の保守層の反感にさらされることにも気付いている。「公正発展党が大きな代償を払う危険性はないのか」との問いへの答えは「ある」といえよう。イスタンブル協定から退くことを支持する人々は、今代償を払うことを甘受しないのならば、この先、家族と社会にとってより一層大きな議論を呼ぶ結果を生み、この責任が公正発展党にあると見なされると考えている。「したがって、このことを今私たちが実行しなかったならば、将来、全く実行できないだろう。さらに大きな代償を払うことになる」と述べている。
■十分に議論しなかった
もうひとつ、イスタンブル協定から退いたとしても、一部の保守派が協定に由来する脅威と位置づけている「家族の仕組みが被害を受ける」、「ホモセクシャリティの助長」、「離婚の増加」、これらを協定にのみに帰すべきか否か[という問題がある]…。少なくとも廃止派同様に、廃止反対派も「違う」と述べている。しかし、その後与党内の反対派たちが次のような見解を付け加えている。
「単独ではないが、重要な根拠を成している。この協定は、この先トルコ国外で見られるように、両性間の一体化を公式に認める道を開き、男女の区別のない社会を作り上げる危険性を生む。」
眼前には返答されるべきもうひとつの単純な問いがある。それでは、なぜ6年前にこの協定に署名したのか。我が国で署名が開始された際に最初にトルコが署名し、時の野党(共和人民党、民族主義者行動党、平和民主党)が全会一致で支援し、承認したが、最も重要なのは、旗ふり役を公正発展党のメンバーが務めた協定であるということである。公正発展党は最後に自身の手で矛盾する決定を行ったことになるのではないのか。「そうなろう」と語っている。「あの際は十分に深く議論しなかった。3月8日の国際女性の日に間に合うように努めた」と表現している。お分かりのように、「自身の手による矛盾」という批判も、いずれにせよ甘受すべき事ごとの中に入っている…。
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翻訳者:新井慧
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