■チャドのシンボルとなった牛乳売りの美しい少女…貧困のうちに亡くなる
【ムハンマド・ジッディー・ハサン:本紙】
キッロー・バット・アッ=ダキール…これは大抵のチャド人が目の当たりにする女性の名前であり、一部の人は毎朝その姿を見ている。彼女の肖像は切手に印刷され、公印に刻されている。また、紙幣や硬貨にも描かれている。とはいえ、この女性が誰であるかを知るものは少ない。彼女の物語とは如何なるものなのか?
夜は塵埃にまみれ、空気は重苦しい。冬は間近である、そんな時、ある人が尋問のように彼女の名前を問いかけた。私たちは「ミア・アーム」集落からほんの少し離れたところで魚のフライを食べていた。そこに丸坊主で碧眼の男性がやってきて、おしゃべりを始めた。その場は魚と国家財政をむさぼる上級幹部や職員などの政府関係者らでごった返していた。禿頭で色白の男性は陽気な売り子に言い寄りながら「お主はキッロー・バット・アッ=ダキールのように綺麗じゃ」と言った。
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