なぜ死後の生が1400年ラマダ―ン月に耳目を集めるものとなったのか? 臨死体験について経験者に直接聞く
2021年05月17日付 Hamshahri 紙
死後の世界の真実を知ることは、昔から来世を信じる者にとっての悩みの種になってきた。聖典や様々な宗教指導者の言説に基づく教条的証拠は別にして、人が死後の生についての客観的な情報を得る基盤となる方法を得ることができるのかという問題は、何世紀も前から論争の的となってきた。
【ハムシャフリー電子版】ホナル電子版によると、限定されたものながらも、死後の超常的世界の状況を知るための最も実用的な方法は、人生のある時において一時的に肉体的な死に近い状況を経験し、のちに蘇生したと主張する人々の経験を活用することであるように思える。ここ数十年での、こうした人たちにより語られた、あるいは書き記された認識についての研究や検証は、「臨死体験(NDE:Near-Death Experience)」の研究領域形成の土台となってきた。
この数十年でNDEの分野に関する多くの文書が出版されてきたが、その中でもおそらく最も有名なものとしては、ベティ・エイディーの『光に抱かれて』が挙げられるだろう。このアメリカ人女性は自身の本で、とある外科手術中に自分の魂が身体から離脱した結果とと彼女が主張する出来事について記述している。近年イラン国内でのNDE領域の研究やそれと関係のある書籍の出版傾向は拡大している。ジャマール・サーデギーによる『死を超えて』は、3人の臨死体験をしたと主張する人たちへのインタビューの内容をまとめたものであるが、これはイラン国内において大きな反響を引き起こした。書籍『復活の3分間』もまた経験談の記述含んでいるが、その中にはイランの兵士が語ったと思われる経験も含まれている。この二冊の共通点は、経験者が匿名にとどめられていることにあると言えるだろう。
昨年までは視覚作品とテレビ番組の分野では、この点に主眼を置いた企画は組まれなかった。1399年[西暦2020年3月20日~西暦2021年3月20日]のラマダーン月から、アッバース・モウズーン氏が制作したドキュメンタリー番組「死後の生」の放送が4チャンネルで始まった。同氏が司会者も務めるこのトーク番組では、経験者が自身の言葉で臨死体験を語る。1400年ラマダーン月版の「死後の生」もまた放送され、番組内容の配信システムの拡大のおかげで前年よりも多くの視聴者を獲得した。
新鮮なトピック、話の内容、そして経験談をナレーションしていく過程での中立的なアプローチが信心深い生活を送っている層やNDEに対して関心を持つ層の視聴者を惹きつける原因になっている。会話の中で、司会者は自身の宗教的及び思想的傾向がインタビューに干渉しないようにし、細かい質問を出すことによってできる限り経験を説明するのを補助しようと努める。経験者の認識の説明に加えて、番組の随所に宗教の専門家とNDE分野の研究者に対するインタビュー録画映像が含まれており、その部分は超常的な経験の詳細と様々な側面を視聴者に紹介する内容となっている。また、番組の一部に西洋人の経験者へのインタビューが含まれていることで、イラン人視聴者が臨死体験を彼らと共有しているという認識を持てるようになっている。
この番組は、人々の生と死に対する見方を変え、死を生の一部として紹介するよう意図しているように思われる。番組が中立的なアプローチの維持に注意を払うことにより、宗教的な生活を送る傾向にない視聴者の一部を惹きつけることに相対的に成功した。このことは、番組のインスタグラムのチャンネルで視聴者の意見を調査したことで確認されている。諸々の証言は、死後の生を信じる人や自身が愛する人を失った痛みに耐える人が「死後の生」に深いかかわりを持っている事を示している。
おそらく新型コロナウイルスの流行と、この感染症が原因となった広範な損害が有害な心理的結果をもたらした状況において、このような番組の制作は遺族の痛みを和らげ、人々の間に希望をもたらすことに役立つ可能性があるだろう。
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翻訳者:NA
記事ID:51129