今日世界中で文学を発信するアフリカの作家たち(2)
2021年06月26日付 Hamshahri 紙
——「なぜこれら全てのアフリカの国々の中でアンゴラとモザンビークをお選びになり、同国出身の2名の作家をペルシア語話者に紹介されたのでしょうか?」
ガブラーイー氏:予てより、アフリカ諸国の小説25編を含んだ選集に関する綿密なプランがあります。私が選者の監督を務め、私の下では数人が協働するよう、複数の出版社に提案をしました。しかしながら申し開きをされたり、控えめな態度で「先生自身で翻訳なされた作品は全て、うちの出版社では面倒を見ます。それを念頭に置いてはいますが、他の翻訳者については考えていません。」と言われたりしました。何はともあれ、その選集と監督の件は実現しませんでした。10冊の作品を翻訳することには満足しており、ただ今10冊目の翻訳に取り組んでいます。幸いにも私の生涯は長く与えられており、できることならこの作品数を20冊ちょっとに伸ばせるでしょう。しかしながら、「なぜ私が初めにアンゴラとモザンビークの作家を選んだのか」という問いの理由は、チェシュメ出版から出されている『カメレオンの書』の4、5ページの短い序章の中で、アンゴラの国と歴史や小説中の出来事の時代背景についてと共に、この2カ国を初めに選んだ理由も記しております。その根本的な理由は、大学の政治法学部で書いた私の卒業論文がアンゴラとモザンビークに関係するものだったからです。両国は、約500年もの間イギリスの植民地下にあり、植民地政策に対する抵抗運動を行って、最終的には独立するに至りました。勿論、その卒業論文はもう手元にありませんが、おそらく現在、当時の執筆内容について笑ってしまうでしょう。というのも、その当時はそもそも自分の研究や調査のために必要な資料が全くなく、単にケイハーン紙やエエテラーアート紙の過去の記事を読み漁ったり、英語の本を手に取って自らペルシア語に翻訳していたりしました。その際自分の卒業論文に直接引用して、卒業論文を執筆していました。この関心はその当時まで遡ります。翻訳作業の中で、アジア文学にも首を突っ込み、アラビア語作家数人もこのカテゴリーに含め、そのうち数冊を翻訳したのですが、その際、アフリカ文学に私は注目したのです。私が申し上げたまさにこのような理由で、最初の国はアンゴラとモザンビークであると認識されています。ニールーファル出版を通じて、私はアンゴラ出身のとある別の作家もペルシア語読者に紹介しました。オジャンキ【訳注:Ondjaki(1977-)リスボン大学で社会学学士、イタリアでアフリカ研究の博士号を取得。】という作家が書いた『おはよう、仲間たちよ』【訳注:英訳ありGood Morning, Comrade(Biblioasis; Ontario, 2008)』を選び、翻訳しました。同様にオフォグ出版からも、モザンビーク出身のとある作家が書いた1編の小説を出版しました。それは、ミア・コウト【訳注:Mia Couto,1955-ポルトガル人入植者二世。モザンビーク独立運動に参加。】が書いた『夢遊の大地』【訳注:英訳ありSleepwalking Land(Serpent's Tail; London,2006)】という題名の小説であり、私は同作家の2作目もオフォグ出版に提出しました。この小説は『ジャスミンの灌木の下で』【訳注:重訳による一部邦訳あり「フランジパニの露台」(『すばる5月号』集英社2017)訳者のブログhttps://esperanzasroom.blogspot.com/2017/04/5.html】という題名です。他の小説もまた同様に翻訳、準備中です。
——「他のどのマスコミよりも先に、他のその小説の名前を私たちに仰っていただくことは可能でしょうか?」
ガブラーイー氏:他にオフォグ出版が出す予定の小説は、年配で、アフリカでは重鎮の作家によって書かれたものです。チヌア・アチェベ氏【訳注:1930-2013ナイジェリア出身。ロンドンのカレッジで英語・神学・歴史を学ぶ。ボストンにて死去。邦訳あり『崩れゆく絆』(粟飯原文子訳、光文社古典新訳文庫、2013)】以降、その作家はアフリカで最も偉大な作家の1人として知られていますが、残念ながらその作家の最高傑作であり、最もボリュームのある作品は今のところ翻訳できていません。何年もその作品を後回しにしてしまっており、残念に思っております。その作家はグギ・ワ・ジオンゴ【訳注:1938-ウガンダ最大の大学マケレレ大学で英文学を学ぶ。現在は母語であるキクユ語で執筆。3度来日。】という名前です。同作家の書いた『泣くな、わが子よ』【訳注:邦訳あり。宮本正興訳、電子本ピコ第三書館販売、2012】という短編作品が、オフォグ出版「厚さ5ミリの傑作シリーズ」から出される予定です。同作家は現在に至るまでイランでは全く知られておらず、作品も全くペルシア語に翻訳されていないのです。同作家の名前がノーベル文学賞にノミネートされて何年も経ちました。他の作家による小説2編もニールーファル出版から出される予定です。一方は、(ウガンダ出身の)ゴレッティー・キョモヘンド【訳注:Goretti Kyomuhendo 1965- ウガンダ出身。南アフリカの大学で芸術学士号取得。ウガンダ女性作家協会、アフリカ作家トラスを設立。ロンドン在住。】が書いた『期待』【訳注:英訳Waiting(Feminist Press at the City University of New York, New York 2007)】という題名の作品で、来週までに出版される予定です。もう一方は、(コンゴ共和国出身の)アラン・マバンク【訳注:Alain Mabanckouコンゴ出身。1966-パリ大学(ナンテール校)に留学、法学修士取得。現在LA在住。UCLAでフランコフォン文学(フランス語圏文学)の授業を担当。】が書いた『大統領の仲間の死』【英訳The Death of Comrade President(Serpent's Tail, London,2020)】 です。
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翻訳者:IO
記事ID:51493