パンデミックの日常に百年前のそれを鏡写しにした作品や、現代の激しく議論をよぶ難民問題を扱った小説...詩人の手紙、トルコの伝統の食卓、都市文化をまとめた出版物などなど……。
■フィクション部門
第1位 『Veba Geceleri(ペストの夜、英題:Nights of Plague)』 著者:オルハン・パムク/イレシュティム出版
オルハン・パムクの最新刊『ペストの夜』は、彼の文学的世界観がすべて細部まで詰め込まれた長編で、歴史背景や緻密なフィクション、そしてディティールの豊かさた注目を集める。我々が置かれたパンデミックの日々、その中での我々の精神状態には、百年前のそれが鏡写しになっている。
第2位『Zamir(ザミール)』 著者:ハーカン・ギュンダイ/ドアン・キタプ出版
『Zamir』は、激しい怒りの小説である。なぜなら本作で扱われる課題と世界の現状を他のいかなる方法でも説明することができないからだ。著者のギュンダイは、8年前に執筆した作品『Daha(もっと)』からさらに一歩進め、現代の議論を呼ぶ難民問題の背後事情と二面性(偽善)を描いている。
第3位『Empodokles’in Dostları(エンペドクレスの友人たち)』 著者:ヤプ・クレディ出版
世界と人類の未来についての不安をテーマとした作品。著者のアミン・マアルーフは、大西洋の小島であるアンティオキアでの停電のシーンから始まる本作の中で、世界の終わり、存在(生存)への新たな希望、絶滅、存在などの重い生命にかかわる概念に疑問を投げかける。
第4位『Kayıp Tanrılar Ülkesi(失われた神々の国)』 著者:アフメト・ユミット/ヤプ・クレディ出版
第5位『Ülker Abla(ユルケル姐)』 著者:セライ・シャーヒネル/エベレスト出版
第6位『Klara ile Güneş(原題:Klara and the Sun、邦題:クララとお日さま)』 著者:カズオ・イシグロ/ヤプ・クレディ出版
第7位『Hoca, Baba, Amca, Ben(先生、父、伯父、私)』 著者:ムラト・ウユルクラク/ジャン出版
第8位『Ev(家)』 著者:ネルミン・エル/ヘプ・キタプ出版
第9位『Bana Kuşlar Söyledi(鳥は私に言った、英題:The Birds Told me)』 著者:イェクタ・コパン/ジャン出版
第10位『Keskin Nişancı(スナイパー)』 著者:ジェム・セルジェン/ドアン出版
■ノンフィクション部門
第1位『İki Satır, İki Satırdır: Alev Ebüzziya’ya Mektuplar(二行は二行である-アレブ・エブジヤへの手紙』 著者:エディプ・ジャンセヴェル/ヤプ・クレディ出版
詩人エディプ・ジャンセヴェルが、陶芸家アレブ・エブジヤ・シスビュに宛てた手紙が年月を経て出版された。エディプ・ジャンセヴェルの感性の世界の扉を開く一文一文が、詩の星座の中で巡るテキストである。
第2位『Galata: İstanbul’un 700 Yıllık Karakutusu(ガラタ:イスタンブル700年のブラックボックス)』 著者:トゥラン・アクンジュ/レムズィ書店
都市文化と建築研究で知られるトゥラン・アクンチュの最新作。イスタンブルのこれらの古い地区を、その建設当初から現在まで、それぞれの段階に沿って解説する。
第3位『Kitap İçin 4(本のための 4)』 著者:セルチュク・アルトゥン/トルコ労働銀行文化出版
作家セルチュク・アルトゥンが「読み書き日記」として出版した文章をまとめた本の第4弾。幼いイスケンデルの「頭の片隅ではなく、頭の中の本」とされる文章の中には、著者アルトゥンによる格言、引用、回想録、知恵、批判、小話、論証法、そしてその答えがある。
第4位『İstanbul’un Lezzet Tarihi(イスタンブルの味の歴史)』 著者:アルトゥン・ユンサル/エベレスト出版
第5位『Geçmişten Günümüze İstanbul Lezzetleri(過去から現在までのイスタンブルの味)』 著者:メリン・セヴェル/İBB文化社
第6位『Perde Kapanmasa Görecektiniz(カーテンが閉まらなかったら見ていたでしょうに)』 著者:デミル・ユジェ・バシャルル/İBB文化社
第7位『Bir Ağacın Altında(木の下で)』 著者:セルチュク・デミレル/ヤプ・クレディ出版
第8位『Devlet-i Aliyye Osmanlı İmparatorluğu Üzerine Araştırmalar(崇高なる国家-オスマン帝国研究)』 著者:ハリル・イナルジュク/トルコ労働銀行文化出版
第9位『Topraktan Sofraya -Sakarya Mutfağı (大地から食卓へ~サカルヤ料理)』 著者:キュブラ・スルタン・ユズンジュユル、アイヌルハヤト・ウイバドゥン、アリフ・ビルギン、スアヴィ・アイドゥン/ヤプ・クレディ出版
第10位『Burası Orası Değil: Hayalet Oğuz Kitabı(ここはそこではない:詩人ハヤーレト・オウズの本)』 著者:カヤ・タヌシュ/クルムズ・ケディ出版
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翻訳者:原田星来
記事ID:52047