名優ジュネイト・アルクン、死去-ユルマズ・ギュネイの思い出

2022年06月28日付 Cumhuriyet 紙

トルコ映画界の名優ジュネイト・アルクンさんが85歳で亡くなった。アルクンさんは、1972年のアルトゥン・コザ映画祭で受賞予定だった賞を辞退したことについて、「その賞はユルマズが受賞するはずだった。ユルマズ当人や分別のある人たちがこのことを知っているのに、この賞には私がふさわしかっただろうか。違うだろう。」と述べていた。

映画界の名優ジュネイト・アルクンさんは、自宅で体調不良を起こし搬送先の病院で亡くなった。85歳だった。アルクンさんは、トルコの映画界に名をとどろかせ何百もの映画に出演し、多くの賞を受賞してきた。

1972年に開催された第4回アルトゥン・コザ映画祭での最初の審査員投票では、ユルマズ・ギュネイの『Baba』が最優秀映画賞、ユルマズ・ギュネイが最優秀男優賞に選ばれていた。しかし、アダナ広域市長がこれに異議を唱えたことをうけて審査員による再審議が行われた結果、最初の投票で2位となっていたユルマズ・ドゥルの『Kara Doğan』が最優秀映画賞に、『Yaralı Kurt』での芝居でアルクンが最優秀男優賞に選出された。アルクンさんはこの賞の受賞を辞退した。

■「その賞はユルマズのものだ」

アルクンさんは、NTVの番組『Yüz Yüze』にゲスト出演しシムゲ・フストゥックオールと対談した際、賞を辞退した理由を以下のように明かしていた。

「その賞はユルマズのものだ。ユルマズ当人や分別のある人たちがこのことを知っているのに、この賞には私がふさわしかっただろうか。違うだろう。私はすべての映画で懸命にヒーローを演じてきた。不当なことに立ち向かってきた。自分自身に対していつも『実生活でも私はそうであろうか。』や『映画でヒーローになること、公正であること、悪に立ち向かうことはとても簡単だ。しかし実際にそうなれるだろうか。』と問いかけてきた。私はいつもそのことを考えていた。その賞は、正式にユルマズがもらう権利があった。ユルマズ・ギュネイはとても重要な人物だった。たいへん価値のある映画人だった。彼に相応しい栄誉を人々が授けた。トルコでは、人々は芸術家に真の価値を常に授けたきたのだから。」


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翻訳者:金子萌
記事ID:53660