■ロシアによる「凍結」に対して…「暖かい冬を求めて」欧州はアルジェリアに「上陸」
【アルジェ:本紙】
さらに、8月の最終週にはルクセンブルクのジャン・アセルボーン外相がアルジェリアを訪問した。ルクセンブルクは、国土は小さいもののEUで活発に活動する国だ。外務省の声明によると、外相はテブン大統領およびラマムラ外相と会談を行い、今後の地域的・国際的な出来事を見据え、二国間協力や現在の問題についての対話・調整の強化といった優先分野について確認し合ったという。
一方、スペインのペドロ・サンチェス首相は、両国間で激しい危機が存在しているにも関わらず、欧州からアルジェリアに「上陸」する次の訪問客になろうという願望を隠さなかった。数日前に安全保障とエネルギーに関するドイツ政府主催の会議にサンチェス首相が招かれた際、その合間にドイツのオラフ・ショルツ首相とともにボンで開いた記者会見の中で、スペインとアルジェリアの危機の進展に関する質問に対して、サンチェス首相は「アルジェリアに関しては、私がアルジェリアに行く者になれたら嬉しい、と言っておこう」と応じた。
サンチェス首相はアルジェリア当局に対して自らを迎え入れるよう要請する中で、今年3月に危機が勃発した直後にスペインが失った天然ガスの割当て量を元に戻すことに躍起になっているが、スペインの(アルジェリアからの)天然ガス輸入量は消費量の40%から約25%に減少している。スペイン政府は既にタンカーで輸送されるアメリカ産のガスを大量に購入せざるを得なくなっており、新たに重い負担としてのしかかっている。そして、この負担は電気やガスの請求書に反映されており、スペインメディアによると請求は約60%値上がりしたという。さらに、スペイン政府はロシア産天然ガスの購入量も増やした。なお、スペイン政府はロシアこそアルジェリアを反スペインへと突き動かした張本人であると批判しており、西サハラ問題におけるサンチェス政権の立場の変更ではないとした。皮肉なことに、ロシアは先々月スペインにとって第2位のガス供給国となった一方で、スペインにとってガスの歴史的な供給国であるアルジェリアは、アメリカとロシアに続く第3位の供給国に後退した。
ヨーロッパで冬場の熱源確保が急がれる中で、アルジェリアの天然ガス輸出において優遇措置を受けられることとなったイタリアは、アルジェリアと結んだ戦略的パートナシップへの執着ぶりを改めて示した。大統領府の声明によると、テブン大統領は3日前、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領と電話会談を行い、多数の分野における友好国同士の際立った2国間関係について意見交換したという。
さらに、両大統領は「両国首脳による相互訪問の成果や両国国民の利益となる様々な決定の実施を加速させる方法」について協議した。また、「調整や相談のために常設の連絡経路を維持する」と明らかにした。なお、イタリアの大統領と首相がアルジェリアを訪問し、またテブン大統領がイタリアを訪問した際に結ばれた最重要協定のひとつは天然ガスの問題に関するもので、アルジェリアからの輸入量を毎年約90億立方メートル増やすことで合意した。
ソナトラックとイタリアのエニ、アメリカのオクシデンタル、そしてフランスのトタルは既に今年7月に40億ドルにのぼる大規模契約に署名している。この契約には、アルジェリア南東部にある油田から生産される石油と天然ガスを25年にわたって「配分」することが記されている。
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