モロッコ:フランスとの対立が深刻化、フランスの展覧会で「モロッコのない世界地図」が公開

2022年10月23日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ラバトとパリの危機に並行して…フランスの展覧会で「モロッコのない世界地図」を公開

【ロンドン:本紙、フセイン・マジドゥビー】

モロッコとフランスの関係は、想像以上に深刻な局面を迎えている。復讐の性質を持つ行為が起こることもあれば、およそあり得ない行動が起こることもある。最近モンペリエ市で開催された展示会では、「モロッコのない世界地図」が公開された。

この点からも、モロッコとフランスの関係が危機的状況であることは、もはや秘密ではなく公然に事実だ。両国の関連当局からは過激な声明は出ていないが、さまざまな(一方的)措置はこの危機的状況を反映している。フランス政府は先月9月、駐モロッコフランス大使を退任させた。しかし後任の大使は決まっていない。数日後、今度はモロッコ政府がムハンマド・ベンチャーブーン駐仏モロッコ大使をパリから召喚し、投資基金の事務局長に任命した。

現在モロッコ政府は、フランス語からの離脱を目指し、英語を広く導入すると発表した。この方策はまさしく「フランコフォニー(フランス語圏)の心臓を貫く矢」である。モロッコではアラビア語が普及しているにもかかわらず、依然としてフランス語は、エリートの言語、経済・政治および大学の科学教育の言語であり続けている。

フランス政府はエリートを中心とする枢要な社会的要職に就くモロッコの上流階級の利益を害するようないわゆる「ベルトより下を打つ」*行為をもくろんでいる。そしてモロッコ政府がフランスから追放された不法移民を引き取ることに消極的であることを理由に、元大臣やフランコフォン(フランス語話者)である知識人たちを含む数万人のモロッコ人のビザの申請を拒否している。

(後略)

* ボクシングのルールが由来のイディオム。腰より下を攻撃してはいけないルールから「汚い手を使う」「卑怯なことをする」「アンフェアな行動をとる」の意味を表す。




この記事の原文はこちら
原文をMHTファイルで見る

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:中嶋甘奈
記事ID:54313