シリア:シリアと日本の架け橋…展示会「アラブのアートと出会う空間」が東京で開催

2023年01月25日付 その他 - シリア国営通信 紙

■「アラブのアートと出会う空間」…シリアの美術と遺産を紹介するための展示会が東京で開催

【シリア国営通信】

ウードや伝統的なアラビア歌曲の音色とともに、展示会「アラブのアートと出会う空間」が東京で開催された。そこではシリア人芸術家のヒヤーム・サルマーンさんと「アルスム・フルミー」(私は夢を描く)協会の子どものほか、日本人の造形芸術家である齊藤尚子さんによる絵画が展示されている。



「Naseej Japan」、「YDY」、「Team Beko」の3プロジェクトの協力のもとで開催されているこの展示会では同様に、サルマーンさんによる複数の絵画や、彼女の作品がプリントされた色とりどりのショールが飾られている。これらの絵画は、サルマーンさんがシリアの遺産からインスピレーションを受けながら、現代的な手法を用いて針と糸で製作したものである。

アルスム・フルミー協会でトレーニングを受けた子供たちも、各々の好きなテーマでパステルカラーの水彩画を描き、そのなかから計12点が展示されている。一方同協会の女性グループも、リサイクル生地のパッチワークによって作られた小さなハンドバッグなどの手芸品を展示・販売することで、展示会のオープニング・イベントに参加することができた。これら全てはアルスム・フルミー協会が設置している大人向けの手芸講座で作られた完成品であり、母や祖母が作ってくれた懐かしい手芸品を思わせる品々である。



日本人芸術家で展示会の主催者である斎藤さんは本紙記者のインタビューに対して、次のように答えた。「私は今回の展示会が、日本の社会にシリアのことを知ってもらい、この国がもつブロカール(ダマスク織)、アガバーニー、モザイクといった貴重な伝統工芸を紹介するための機会となることを願ってきました」。

齋藤さんは、アラブやシリアの伝統的な音楽・歌曲を紹介しつつ、シリアの遺産を再現することを目的とした今回の展示会を通して、来訪者に良い印象や感情を持ってもらうために、作業チームと共に新たな手段に誠心誠意取り組んだという。彼女によると、こうした好印象こそが、「シリアと日本の人々を繋ぐ架け橋として働く」ことになるのだという。



彼女は、シリアの織物(ブロカール、アガバーニー)に対して抱いた感想として、それらが「職人性と精密性に満ちた芸術作品」であることを指摘した。また彼女は、「シリアの織物を初めて見たときにその美麗さに驚いた」としつつ、それらが日本でいまだ知られていないことへの遺憾を伝えた。さらに「シリアの遺産を紹介し、そこに見出される創造性の側面を伝えるために展示会を開催することが重要である」と指摘しつつ、次のように述べた。「しかし、こうした顧客にこうした布製品をアピールするための、新しい方法を見つけることが不可欠でしょう。この発想にもとづいて、今回の展示会では、シリアでの生活の様式を伝えるための絵画、織物、写真を様々な観点から選び出したのです」。



東京外国語大学の学科コーディネーターであり、「Naseej Japan」プロジェクトの顧問を務める青山弘之教授は本紙への声明のなかで、今回の展示会に参加する主要な目的が、「シリアについて、そしてそこに暮らす想像力あふれる人々について、日本人により深く知ってもらうこと」にあると明らかにした。さらに同教授は、この目的を達成するためのもっとも簡易なアプローチが、「芸術家であるサルマーンさんの絵画や、『アルスム・フルミー』協会の活動成果、ブロカール、アガバーニー、モザイクといった品々を展示することで、日本人に視覚的な刺激を与えること」であったとしつつ、次のように断言した。「このような展示会は、日本にシリアの芸術や創造性といった側面を伝えることに大きく貢献するでしょう」。



芸術家のヒヤーム・サルマーンさんは、次のように述べた。「展示会『アラブのアートと出会う空間』は、シリアが代表する東アラブの文化と、日本が代表する極東の文化が一つに集うとてつもない機会です。それは文化と遺産によって支えられた、両国間の架け橋なのです」。最後に彼女はこう期待を寄せた。「シリアの美しいイメージが、ありのままで、あるいはそうであるべき姿のままで伝わることを望んでいます」。

展示会「アラブのアートと出会う空間」は3月5日まで東京の三軒茶屋で開催される。


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翻訳者:国際メディア情報センター
記事ID:54917