AKPのチェリキ元教育相、エルドアンに「大学オンライン化断念」を進言
2023年02月24日付 Cumhuriyet 紙
ヒュセイン・チェリキ元国民教育相は公正発展党(=AKP)のエルドアン大統領に向けた書簡を公開し、大学遠隔教育への移行の決定を取り消すよう呼びかけた。
公正発展党の設立者の一人でもあるヒュセイン・チェリキ元国民教育相は、震災による大学遠隔教育実施への移行に対し、公正発展党のレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領に向けた公開書簡を書いた。
ソーシャルメディア・アカウントでエルドアン大統領に呼びかけたチェリキ氏は「大学の遠隔教育への移行に関して下された決定が取り消されるべきであることを、あなた様[エルドアン大統領のこと]と世論に謹んで申し上げる。間違いを改めることは美徳である、とご存知で、そう判断されることでしょう。」と述べた。
チェリキ氏は書簡で以下のように述べた。
■取り返しのつかない傷を負わせる
「大統領閣下、震災の災禍により国のすべての大学が遠隔教育に移行することは重大な間違いである。この国は、第一次世界大戦で9つの戦線で戦っている間も、唯一の大学であったイスタンブル大学を閉鎖しなかった。元国民教育相であり、40年間教員を務め、世界の最も優秀な大学を身近に見てきた私が言いたいのは、この(決定の)実施が取り返しのつかない傷を負わせるということだ。」
■残念だ、過ちだ
「もともとパンデミックにより正常な大学の様子を目にできなかった学生たちがこのような形で学校を終え、卒業証書を持っているが、専門的な知識とスキルが欠如した卒業生として私たちの前に現れる。残念だ、過ちだ。私たちの国で正規教育を継続している大学生の数はおよそ400万人だ。国の奨学金・寮施設協会(=KYK)の寮の収容人数はたった85万人だ。つまり、大学生の25%のみが国の貸与金・寮施設協会の寮で暮らしている(注)。この状況ですべての大学がどうやって満足に遠隔教育に移行できるか。以前にも私は明らかにしていた。寮の2人部屋を4人部屋に、4人部屋を8人部屋にし、必要に応じて複数段ベットに移行し寮の半分を空け、被災者に割り当てることができる。国家レベルの災害に直面しているので、他のみなと同様、大学生たちは犠牲の分担をためらうことはないと確信している。」
■学長たちは高等教育機構の機構長が脅したと述べた
「大統領、[1980年]9月12日クーデターを行った軍国主義者たちがすべての大学を兵舎のような体制にしようという発想で設立された高等教育機構(=YÖK)は、現状の考え方と機能では、間違いなく高等教育に害を及ぼしている。これに関して何十人もの学長と話した。高等教育機構の機構長が自分達に、反対意見を提案しないこと、決して通常の対面授業を行わないことに関して、公然と脅迫したと述べた。短期的には高等教育機構を国民教育省に付属する組織に移行すること、中期的には、この組織が民主的で先進国のものに準ずる組織に変えることが必須である。高等教育機構の機構長は、このように大統領のスケージュールが埋まった中で月に何回会えるというのか?」
■お世辞を言わないと信用される学長に尋ねてください
「地震の影響を受けた被災県の大学生、および被災地出身で他県で学んでいる学生に対し、当然のことながら便宜が図られねばならない。しかし、現行の措置は、学生ではなく高等教育機構の便宜を図るため、あなた様に提案されたものだ。どうかこの問題を、高等教育機関の機構長ではなく、お世辞やおもねりを言わないと信じている学長に尋ねてください。私が申し上げたのとまったく同じことを言うはずです。大学の遠隔教育への移行に関して下された決定が取り消されるべきであることを、あなた様と世論に謹んで申し上げる。間違いを改めることは美徳である、とご存知で、そう判断されることでしょう。」
(注)国が設置した寮には入れない学生は、家族用の住宅を複数の学生でシェアして借りたり、民間の寮に入っている。民間の寮は高額であったり、運営者が教団であったりする。
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翻訳者:大屋千寛
記事ID:55107