テヘラン州福祉局社会問題担当副局長が語る 本紙電子版インタヴュー(1)
2023年04月30日付 Hamshahri 紙
〜ダイヤル123〔児童虐待、DVなどの問題に対し、専門家が対応するホットライン〕には1万件もの児童虐待の事例が寄せられている/なかには子供が電話して、「今、お母さんが服を着させてくれない」と相談するケースもある/専門家と専用車両の深刻な不足〜
テヘラン州社会SOS[社会緊急センター]では、月あたり平均2万4000件もの電話を受けているが、そのうち約4,500件が同センターの対応すべき事象である。主な相談事項は「児童虐待」に関係するもので、近所の人が通報する場合もあれば子供自らが相談する場合もある。
【ハムシャフリー電子版:パルヴァーネ・バンドペイ】社会SOSは福祉機構[国家福祉機構]の下部組織の一つであり、イラン暦1378年(西暦1999年3月~2000年3月)、個人や家庭の危機や社会的な被害を減らすために組織され、警察や救急医療機構、司法当局などの他の関連機関と連携しつつサービスを提供している。
「専門性」、「即時性」そして「利便性」が、このセンターのプログラムにおける3大方針である。このプログラムは迅速な心理的・社会的介入を行うことで犯罪の予防に重要な役割を果たすことを企図している。つまり、発生した事態が警察や司法沙汰になる前に心理的・社会的に介入して解決し、犯罪が起こる前に一種の予防を行おうとするものである。
離婚を望む夫婦、深刻な家庭内不和を抱えている人、社会的な被害に遭いそう、あるいは既にそういった被害に遭っている女性や少女、自殺願望があるか実際に自殺未遂をした人、路上で生活し、自ら働かざるを得ない子供、DV被害に遭った妻や夫、性同一性障害に悩む人、家出をした少年少女、こういった人々が、社会SOSの保護を受けている。
福祉当局の責任者の話によれば、現在、国内には369の社会SOSセンターが運用されていて、ダイヤル123で年間100万300件の相談を受けており、児童虐待、家庭内暴力が相談件数の上位である。相談者を年齢別にみると、その多くは18歳から30歳である。
社会SOSへの相談が最も多い時間帯/児童虐待が相談の上位
テヘラン州福祉局[国家福祉機構テヘラン州局]社会問題担当副局長のファーテメ・アルザーニヤーン氏は本紙電子版の取材において、社会SOSが毎日600~900件の電話相談を受けているとしたうえで、次のように語った。「この数のうち150~200件程度の相談が、社会SOSが対処すべきものです。月に換算すると平均2万4000件の相談が寄せられ、そのうち約4500件が社会SOSが対応する類の相談です」。
アルザーニヤーン氏は次のように続ける。「全ての相談件数のうち、およそ100~110件が深夜12時から朝8時の間に寄せられています」。
アルザーニヤーン氏はまた、社会SOSが受ける相談のうち件数が多い内容について次のように説明する。「イラン暦1401年(西暦2022年3月~2023年3月)に最も件数が多かったのは児童虐待関係(9447件)で、次に多かったのは、当福祉局内部の別部署に紹介される必要があるもので(7248件)、この場合は相談された内容に基づいて案内が行われ、局内の他の部局(相談センター、薬物依存症克服センター、保護センター等)に委ねられました。また5603件の相談は、局外の団体(弱者保護に関連する組織等)に対応が任されました」。
テヘラン州福祉局社会問題担当副局長によれば、ダイヤル123に寄せられる相談のうち約58%が同福祉局の専門家チームが対応する事例であり、それらのほとんどのケースは児童虐待に関係している。児童虐待には多くのケースがあり、例えば育児放棄、身体的暴力、精神的棒力、性的暴力などである。
アルザーニヤーン副局長は、社会SOSに寄せられる児童虐待のうち最も多いのは「育児放棄」だとし、次のように語った。「現在、多くの両親は共働きで、両親が仕事に出かけている間子供を家に独りでおいておくことになります。そういった時間に、子供は近所の人が心配になるようなことをしてしまうことがあり、その近所の人が社会SOSにやむなく通報する、ということもあるのです。実際問題、全ての通報内容が児童虐待の範疇に含まれるわけではありません。なぜなら近所の住民が、子供が家で虐待を受けていると思い込んで通報することもあるからです。このようなことから、我々は育児放棄という言葉を使っています。ただ育児放棄以外にも、児童虐待のケースも通報されています」。
数日前、国家福祉機構社会的弱者支援室長のモハンマドレザー・ヘイダルハーイー氏はメディアのインタヴューで児童虐待の増加の理由の一つにコロナウイルスの流行を挙げ、次のように述べた。「コロナウイルスの流行によって多くの仕事が失われ、職を失った父親もいます。そして父親が常に家にいる家庭もあり、それが家庭内暴力や児童虐待を増加させました」。
ヘイダルハーイー氏はまた、保育園の利用率は多くの先進国で90%以上だが、わが国では諸般の事情で、経済的な理由もおそらくその一つであるが、多くの親が子供を保育園に入れる余力がなく、親戚に預けていると述べた。もし世話をしてくれる人がいない場合、子供たちは両親が帰ってくるまで独りで家にいなければならない。この、独りで家にいるということが、「育児放棄」というタイプの児童虐待に含まれるのだ。
−(2)に続く−
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翻訳者:MJ
記事ID:55795