■マリア・アッバースの小説:女性の苦しみ…愛から避難まで
【本紙】
先日ロンドンのラミーナ出版から、クルド系シリア人の作家マリア・アッバースによる『キナの木も裏切る』と題された短編小説集が出版された。本作には 15 の短編小説が収録されており、彼女の祖国における女性の現実に触れた芸術的な悲鳴として本作は迫ってくる。というのも、矛盾と悲劇がちりばめられた人生の片隅において私たちに力強く迫ってくる、かすかな女性の声がこだまするのが聞こえるのだ。
マリア・アッバースの短編集には、痛みと不屈の精神の詩が含まれている。彼女は、人々の命を奪った戦争の傷、そして今も紛争が続く影の中にいる彼女の祖国で起きている暴力、抑圧、迫害の傷を癒そうと努めているのだ。我々は、恋愛や結婚、教育や仕事、さらには避難や亡命の場合においてさえも、女性と少女の苦しみを痛切に探求する旅の中を転々とすることになる。
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