ガザでパレスチナ一般市民——その大部分は女性と子供であるのだが——が連日殺戮され、水と電気といった基本的なライフラインが奪われるとともにインフラや住居も破壊されているという状況にも関わらず、マクロン大統領が被占領地を訪問し、シオニスト政権を全面的に支持しているのには、簡潔に言えば歴史的な背景が影響している。
1 フランスはアメリカや被占領地に次いでユダヤ人が多く、50万から60万人にのぼると見られるユダヤ人口を抱えており、ヨーロッパで最も体系化されたユダヤ人組織を有している。フランス在住ユダヤ人のAIPAC[米国イスラエル公共問題(広報)委員会;ここでは仏ユダヤ人団体代表評議会Conseil Représentatif des Institutions juives de Franceのことを指していると思われる]は、アメリカのAIPACに次いで占領下のパレスチナ国外で最も影響力のある組織であり、世界ユダヤ人会議の監督下にある。
2 世界ユダヤ人会議は、ユダヤの機関である世界シオニスト機構を含む、17の主要組織と機関から成っている。フランスの対外情報機関は、パレスチナを占領している政権[イスラエル]の諜報・テロ機関の同盟の一部とみなされている。
3 フランスとシオニスト政権の関係に対しアラブ諸国が鈍感であることは、この政権[イスラエル]の諜報機関が、自身の目的を推進するためにフランスの能力を利用する土壌を作った。一定期間パリは、ヨーロッパにおけるモサドの地域指令本部だったのであり、西アジアにおける秘密工作の指令・統制センターでさえあった。
4 ド・マランシュは自身がフランス対外情報機関の局長であった期間に、シオニスト政権関連の政治外交基本原則の枠組みの中で、シオニスト政権諜報機関との極秘の関係に対してイスラーム諸国の感覚を鈍化させながら、複数のイスラーム諸国の情報機関のトップが参加する情報調整委員会を創設しようと努めた。
5 フランス対外情報機関は、シオニスト政権の諜報機関がフランスの政治外交機関やその他のフランスに属する機関、さらにはアラブ・イスラーム諸国のフランス人学校にもアクセスし利用できるようにしており、シオニスト政権は、上記の機関をスパイ活動や工作活動を行うための隠れ蓑にしている。
6 フランス人はイギリス人と共に自らをシオニスト政権の創設者であるとみなしている。エジプトとシオニスト政権の戦争に際してのこの国とイギリスとの協力や、ミラージュ戦闘機[フランスのダッソー社が開発した戦闘機]を含むあらゆる武器の売却、諜報活動への協力が、このことに関連する事項の一部である。ジャック・シラクやヴァレリー・ジスカール・デスタン、サルコジといった元フランス大統領や、現在のマクロン大統領もこの政権の支持者である。
執筆者:モハンマドレザー・ゴラームレザー
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翻訳者:TS
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