シリア北部の緊張と、カイセリ事件波及

2024年07月02日付 Medyescope 紙

トルコのエルドアン大統領とシリアのアサド大統領の間でかつての関係に回帰することを思わせる歩み寄りがみられた後、トルコがシリアで支配する地域で緊張が高まった。トルコナンバーの車両に対する攻撃や軍用車両に対する発砲の様子、地域内のトルコ国旗掲揚を中止する光景がSNSで拡散されたことや、カイセリにおける性的暴行に反応を示す人々が複数の県で街頭に繰り出した。ハタイのレイハンル区とクルクハン区、アダナ、カイセリ、ブルサ、ガズィアンテプ、シャンルウルファでは、デモ参加者らが人種差別的スローガンを掲げ、シリア人の仕事場を標的にした。

ハタイのレイハンル区とクルクハン区、アダナ、ブルサ、ガズィアンテプ、シャンルウルファのアクチャカレ区では、人々が、トルコの支配下にあるシリアの一部地域での事件やカイセリでの性的暴行を引き合いに街頭に繰り出し、人種差別的スローガンを掲げてシリア人の家や仕事場を標的にした。

アリ・イェルリカヤ内相は、直近1週間で149の密入国斡旋業者と不法移民2563人が拘束されたことを公表した。また、同内相は、ここ1週間の「カルカン-25」作戦で、密入国斡旋業者や不法移民に対する100の作戦が実施されたことを明かした。加えて、カイセリでの事件後に暴徒化した474人を拘束し、うち285人にはさまざまな犯罪歴があることを公表した。

◾️レイハンルの店主がシャッターを下ろす

シリアとの国境に位置するハタイのレイハンル区で街頭に繰り出した人々は、シリア出身者の仕事場が集中するチャルシャンバ市場(Çarşamba Pazarı)の店舗を標的にした。シリア出身の店主は、店のシャッターを閉め同地域から退避した。

昨日7月1日の夕刻、レイハンル区庁舎前にトルコ国旗を掲げて集結した群衆は、「我々は難民を望まない」とのスローガンを掲げた。レイハンル区では放水車と機動隊による厳重な警備体制がしかれ、庁舎周辺の道路では交通規制が実施された。

◾️アダナのシリア出身者居住地区では隊列編成の試みも

アダナ県のセイハン区では、バイクに乗った集団がトルコ国旗を掲げ、コジャヴェズィル地区やミルザチェレビ地区に侵入して隊列を組もうと試みた。警察は、彼らがこれらの地区に侵入し隊列を組むことを阻止した。同集団は、「我々はシリア出身者を望まない」とスローガンを掲げ、他の地区を周回した。

◾️ガズィアンテプでは激化せずに収束

ガズィアンテプでは、人々がトルコ国旗を携えて街頭に繰り出し、スローガンを叫びながらシリア出身者の仕事場や車両を襲撃した。警察は、市内各所に装甲車を配備して警備にあたる一方で、口頭で暴徒の説得を試みた。同件は、警察の対応により激化することなく収束した。

ガズィアンテプ広域市議で共和人民党所属のハサン・シェンジャン氏は、(ディラヴェル・ジェベジの詩の一節である)「我がトルコよ、そなたの川の流れに身を捧げる」と声をあげて歩く集団をとらえた動画を投稿し、「ガズィアンテプ住民の皆さん、子どもたちに帰宅を促しましょう。 彼らは挑発的な行為を行っています。若者たちよ、家に帰りましょう」と発信した。

◾️アクチャカレで店舗への襲撃

シャンルウルファのシリア国境に位置するアクチャカレ区に集結した集団もシリア出身者が所有する店舗を攻撃した。

◾️ブルサでは「トルコはトルコ人のものだ。これからもそうであり続ける。」のスローガン

ブルサのアルトゥパルマク区では、集結したグループがシリア出身者を標的としたスローガンを掲げて行進した。

昨日7月1日の夕刻、ブルサに店を構えるシリア出身の店主らは、安全を憂慮して店を早めに閉めた。特に、市広場、アルトゥパルマク地域やチャルシャンバ地域のシリア出身者が多く居住するところでは、複数の集団が集結した。これらの集団は、「トルコ人であると言えることがどれだけ幸福なことか」や「トルコはトルコ人のものだ。これからもそうであり続ける。」とのスローガンを掲げ、花火を打ち上げ爆竹を爆発させるなどした。警察は、集団を解散させ、アルトゥパルマクに通じる道にバリケードを設置した。

◾️カイセリでも収束せず

一方カイセリで2024年6月30日から始まった一連の騒動は、昨日2024年7月1日晩になっても勢いが衰えることはなかった。日中は静けさをみせたものの、騒動は夕刻に再び始まり、警察の対応により収束した。

メリクガズィ区のダヌシュメントガズィ地区、オスマンル地区、セルチュクル地区、ヒュリイェット地区、コジャスィナン区のアルグンジュク地区、サハビイェ地区、フェズィチャクマク地区では、街頭に繰り出した人々が、シリア出身者の仕事場や車両への放火や投石を行った。警察は放水車(TOMA)や催涙ガスを用いて鎮圧した。


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翻訳者:金子萌
記事ID:58263