セミフ・オズテュルクから『忙しない楽団』
2023年12月07日付 Cumhuriyet 紙
物語部門において、65作品の評価が行われ選出委員がセゼル・アテシュ・アイヴァズ、セヴァル・シャヒン、そしてメフメト・ザマン・サチュルオール氏からなる、第78回ユヌス・ナーディ物語賞は、セミフ・オズテュルク氏の『忙しない楽団』(イレティシム出版社)、ネジャティ・トスンネル氏の『疫病下の物語』(トルコイシ銀行文化出版社)、ガムゼ・エフェ氏の『それでも私達に運がなければならない』(エヴェレスト出版社)、オズヌル・ウナト氏の『パラチンカ』(ヴァジランド出版)という題の作品の中に共有された。次第に時間を進む登場人物たちと、 次第に時間を遡っていき、そして一定のリズムを保つ一つの作品で一体となり、それぞれが互いに手を伸ばす物語を私達は『忙しない楽団』で読むことになる。恐怖、奥深くに隠れているもの、追憶、興味、世界の忙しなさに関わる様々な感情が、特別なキャラクターたちの語りによってハーモニーの中で 提示されている。
ーあなたに物語を書かせる沢山の理由があるのは疑いがありません。本における
「なぜなら物語ること、私たちにのしかかっているこの重さから逃れたいと思っている。」という文章を思い起こしながら質問します。あなたを執筆に向かわせる理由には何があるのでしょうか。
何かを物語ることへの望みが、必要へとへと変わった地点で執筆の仕事は始まります。最も強い感情は、「興味」です。他者の家々や、人々、夢そして様々な可能性を、これを用いて一つに纏め上げることができるようになるのです。ある種の、遊びを作り上げるメカニズムともいえるでしょう。一日が終わっても、全く重荷から解放されないかのように、キャラクターたちの重荷を、自分で背負い込むのです。
―この本の全てに目を通してみると、各物語は、全体を構成するパーツのようであり、その意味で、一つの「楽団(バンド)」のようですね。様々な楽器がバンドを生み出したのでしょうか、もしくはバンドの仕組みが彼らを構成したのでしょうか?
バンドのイメージというのは、壊れた音から構成されていました。様々な物語が構成されるようになるとそれぞれが背負っている感情が隣り合って、どのように響きあうだろうかということに集中します。こうして、全ての物語が、別々の楽器として、『忙しない楽団』に変わったのです。
―本では、実際に存在しているものの背後で探し求められるその他のものに、私たちは出会います。これはキャラクターたちが自身の真実から、その他の真実に辿り着くための努力であるともいえるのでしょうか?
全ての人たちが、自分の声の反響には希望があると考えています。多くの人たちのように彼らもまたその他の真実に辿り着く努力を示していると言えるのでしょうか? 何かを執筆すること、歌を歌うこと、彷徨うこと、さらには全く何もしないということでさえも、この努力の一部分だと思っています。
毎日の生活の中には様々な条件が存在しています。とくにこの規則を生み出している人たちは、「頭のいい」人々です。スタイリッシュに着込んで、座って立ち上がることをよく分かっていて、考え続けてから何かを話す人たちです。しかしながら、このため、狂気の条件は、「賢い」人たちが作った「条件」を笑い飛ばしてみせる仕立てる方法でもあります。
―物語の持ち主というのは勿論、人間だけではありませんね。誰かのハートが熱いものをもっていたとすれば、彼が物語をかたっています。動物たちと作り上げる関係性も書籍には散見されます・・・
私は全ての物語を、パンデミックが最もひどい状況となっていると感じられた時期に執筆しました。オフィスから出て、様々な家に行きました。仕事と、生活の場所がそれぞれ混ざり合っていました。
私の飼い猫、パルトとの間の結びつきは、このプロセスの中で更に強くなりました。
私たちはそれぞれ向かいあっていて、お互いに、違っている点はまるで存在しないようでした。私だけではなく、彼らにもまた説明をするべきことが存在していました。一匹の動物が
人間になったとき、全てのバランスが変化をします。
―時間に対して、場所に対して、状況へ閉じ込められてしまい、kabullenmis 人々が
物語には存在しています。読者には疑問も投げかけていますね。「返答しようとする時に
真実と、フィクションの間に取り残されてしまうのです。社会が次第に「追いつめられる」
時代の、出口は、あなたの考えではどこにあるのでしょうか?
この問いには、エルギン・ギュンチェ氏の「Pi Sayısı ve Özgürlük 」
という本の引用で返答したいと思います。「これには解決策はないのだ、怒りを
持つほかには!」
―ユヌス・ナーディ賞を受賞することは、あなたにどのような感情をもたらしたでしょうか?
もうすぐ、あなたの新しいお仕事も拝見することができるでしょうか?
このような素晴らしい由緒ある賞を受賞できたことは、本当に喜ばしいことです。
ネジャーティ・トゥスンネル、ガムゼ・エフェ、そしてオズヌル・ウナトといった人々と共有
できたことは自信を与えてくれます。つい先月、私の新しい作品を出版社に提出したばかりです。
セミフ・オズテュルク:
1989年ギレスン生まれ。コジャエリ大学美術学部
舞台芸術学部卒業。初めての書籍である『はじめn
山々が雪を頌える』が2018年にヤシャル・ナービ・ナイル
・出版社によって出版された。現在、飼い猫のパルトとともに
イスタンブルに在住している。私設の広告エージェントで文筆活動を行っている。
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翻訳者:堀谷加佳留
記事ID:58517