ハリス氏はイランをどう見るか? 核問題、ソレイマーニー氏暗殺等に関する同氏の立場は|新たな偉業達成に向けた女性検事の台頭(2)

2024年07月31日付 Hamshahri 紙

(続き)
◆ハリス氏からみたイラン核問題

 カマラ・ハリス副大統領のイランに対する姿勢は、民主党とバイデン政権のより広範な政策と軌を一にしていた。同氏は核合意復帰への取り組みを、イランも合意事項を再度遵守するという条件のもと支持している。

 ハリス氏は2019年の外交問題評議会との談話で核合意(JCPOA)の重要性を強調し、トランプ政権の同合意離脱を批判した。氏は核合意の再締結がイランの核兵器保有防止と国際的連帯の再構築のために必要であるとの見解を述べた。ハリス氏は他の発言において、イランとの交渉に関し次のように述べている。「私は核合意を再度締結し、必要であれば合意期間を延ばし、より強固なものにするために交渉を行う。また本件の確実性を得るために極めて強い手段を取るつもりであり、イランが合意の諸条件と諸基準に適合した行動をとっているか確認できるようにあらゆる点からイランを監視していく」

 このように同氏が言及しているにも関わらずーバイデン氏も同様の意見を述べたがー米国政府は6度に及ぶ間接的なイランとの交渉を経て、核合意復帰に向けた有効な措置を結局講じなかった。その原因は、米国がイランに圧力をかけることで国防・地域問題の交渉の門戸を開かせることができると期待したため、というふうに説明が可能だ。ハリス氏は外交交渉を重要視しつつも、制裁の利用を、ミサイル製造開発計画や、中東地域内での活動、人権問題といった様々な問題に対してイランに圧力をかけるための手段として認めている。カマラ・ハリス氏のイランに対する姿勢は概して、イランの政策を変えるための戦略的圧力と外交を同時に重要視する多角的アプローチへのこだわりを示している。


◆核問題以外に関する副大統領の見解

 カマラ・ハリス氏が対イラン関係における他の話題について述べる見解は、大部分が人権、地域の安全保障、経済制裁に集中している。2020年6月、ハリス氏は上院の決議案を支持した。この決議案はイラン政府による人権侵害を主張するもので、特に「抗議活動の暴力的鎮圧、恣意的な逮捕、言論の自由侵害」と称されるものを強調している。ハリス氏はまた、女性やマイノリティーへの措置についてもイラン政府を批判している。さらに、声明の発出により、イランの国連女性の地位委員会からの追放も求めた。

 ハリス氏は「中東地域におけるイランの影響力」と呼ばれる問題に対抗する法律の制定の支持者であり、実例として、同氏はイランによる中東地域における活動やヒズボラ等の組織支援に対処する決議に賛成票を投じている。また氏はイランを標的とした経済制裁を容認している。加えて2017年には、イラン、ロシア、北朝鮮に制裁を課す「敵対者に対する制裁措置法(C AATSA)」に賛成票を投じた。同措置の支持者は、この法律はイランのミサイル製造開発計画に関わる個人や機関、革命防衛隊を標的としたものだと主張していた。

 民主党の候補者候補は、殉教したソレイマーニー氏へのテロ事件については大統領選のライバル・共和党のトランプ氏と相反する立場をとっている。2020年1月、ソレイマーニー氏の殉教を引き起こした米国ドローンの攻撃の後、ハリス氏は緊張の激化と戦火拡大の可能性に懸念を示し、米国・同盟国軍の中東地域における安全確保のために必要に応じた戦略的アプローチを取ることを主張した。


◆イスラエル支持者でありながらも二国間アプローチを主張

 ハリス氏はシオニスト政権の強力な支持者であり、ロビー団体アメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の年次会議での講演者の一人である。

 同氏は2017年のAICPACスピーチで以下の通り発言した。「ベイエリアで育った頃のこと、ユダヤ系協会や慈善団体に、イスラエルに樹木を植えるために我々(米国)が経済的な支援をしていたことを、誇りをもって思い出します。後になって初めてイスラエルを訪れ、当時の努力とイスラエルのポテンシャルにより実った果実を目にし、砂漠の都市がどうやってこれほど、というような繁栄を目の当たりにしました」イスラエル・タイムズの見方では、ハリス氏はユダヤ系リベラル団体やJ Streetという名のシオニスト団体の支持者というより、AIPACロビーと蜜月の関係にあるようだ。

 タイムズ・オブ・イスラエルの報道によると、ハリス氏は2016年にカリフォルニア州選出上院議員として選出されてから、現在までに2度AIPACでスピーチを行っている。

 同報道によれば、半数以上の米国上院議会の民主党員が選挙においてJ Streetから支援を受けていたにも関わらず、ハリス氏はそのような支援は受けていない。同氏は2017年初頭、米国が国連安保理でシオニスト政権による入植を非難する決議案を採択することを認めたとして、オバマ政権を強く非難する決議案への支持を表明した。バイデン政権副大統領は、「イスラエル・パレスチナ間の争いを解決する二国間の取り組みを支持するか」との質問に、「イスラエルは重要な同盟国かつ友人であり、同国の安全が第一である。私は二国間の和解を完全に支持する。というのは、それがユダヤ人のイスラエルの存在を保証する、民主的で安全な最適解であるからである」同氏は続けて、パレスチナ問題に緊張をもたらすトランプ氏の措置について次の通り述べた。「残念ながら、以前は米国が中東地域の和平に向け大きな意欲を持った誠実な仲介者として見なされていたにも関わらず、トランプ氏の措置は同地域における緊張の拡大と、米国の信頼、影響力低下と平和への見通しの悪化を引き起こした」


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翻訳者:AT
記事ID:58523