■シリアとレバノンに共通する運命:イスラエル、地方分権主義、イスラーム主義の危険
【本紙:ムニール・ラビーウ】
<<新たなシリアとレバノン>>
これらの進展や課題を踏まえると、多くの危険が吹き荒れる可能性がある。またそこではたシリアのさらなる弱体化ないしは同国の紛争および混乱状態の維持を狙う地域諸勢力ないしは国際諸勢力が関与してくる可能性があり、これは関係者らにとって無視できないことである。この点において、イスラエルが(シリア)軍に打撃を与え、その完全な弱体化を目指して行った軍事作戦を経て、「新たなシリア」の形成に参加しようと画策しているのを注視し、警戒しなければならない。というものイスラエルは、シリアに弱いままで、また混乱や政治的、宗派的、あるいは方向性の相違による紛争に陥ったままでいて欲しいのだ。新政権にとっては、一国二政府二軍隊の状態とすることでシリア国内での、あるいはシリアに対する紛争を再発させかねない、地域的衝突や紛争がもたらすクーデターや混乱に見舞われないよう、エジプトやリビアをはじめとする他国の経験を生かすことが必然となろう。
レバノンはシリアのあらゆる顛末に備えており、その余波と影響の規模を確信している。イスラーム主義的選択が優位を占め、これが憲法や政治的慣行のなかで強化された場合、レバノンも同様の波を受けることになるだろう。
一方シリアで分離や分裂の声が高まった場合、ないしは少数派と多数派の間で紛争が起こった場合、そのような争いがレバノンにも波及するだろう。
そしてすべての社会構成員が、全員にとって適切であり、彼らの役割と影響力を保つような枠組みのなかでその建設・運営に参加するような(おそらくこれはそのもとで政治的均衡や権利と義務との均衡が実現されるようなバランスの取れた地方分権主義を通じて行われることになる)、市民国家・国民国家に基づいてもっとも合理的な道が選択されるのであれば、それはシリアとレバノンにとってもっとも理想的な解決策になるだろう。
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