最大圧力に対する最大の抑止 特別寄稿記事で提起

2024年11月29日付 Jam-e Jam 紙

 米国やドイツ、フランス、英国などの国々は、イラン・イスラーム共和国は身動きをとれないわけではなく、最大限の圧力を受ければ確実に最大限に抑止する行動に出るであろうことを認識しなければならない。

執筆:モフセン・パーカーイーン|国際問題上級専門家

 イラン・イスラーム共和国の原則的な立場は常に、核計画を平和的に進め、核兵器の生産・製造・使用に向けた動きを自制するというものであり、この立場は依然として強固で揺るぎないものである。同時に、イラン・イスラーム共和国の政策は、 外国の脅威に対して最大限の抑止力を生み出すよう努力することである。

 しかし、残念ながら、過去数カ月間にわたる米国の支援を受けた独仏英の行動を受けて、イラン・イスラーム共和国は抑止力レベルの向上という問題に対して一層関心を寄せるようになった。そのため、イランのミサイルの射程距離を2000㎞以上に延ばすべきであるとか、核計画のドクトリンを見直すべきであるといった提案や見解が有識者らにより提起されている。とはいえ、イラン・イスラーム共和国の政策は従来と変わらず、核エネルギーに関する平和的アプローチからの逸脱は自制されている。

 一方、このような提案が出されるにあたって他の問題の影響もあったことを忘れてはならない。その例としては、少し前に、3島(イランが領有するペルシア湾の大トンブ島、小トンブ島、そしてアブームーサー島)に関するイランの領土保全に対してEUが明確な立場を示したが、これはヨーロッパのアプローチが政治的な立場から安全保障上の立場にシフトしたことを明確に示している。さらに、イラン・イスラーム共和国がロシアに弾道ミサイルを売却し、ウクライナ戦争に干渉しているとして、イラン・イスラーム共和国に対し虚偽の非難を行ったことも指摘することができる。もちろん、彼らの最新の行動は、米独仏英がIAEA理事会に声明を出そうとしたことだ。言い換えれば、核交渉を支持してJCPOA(包括的共同作業計画、ペルシア語では「Barjam」)に基づく責務を果たす代わりに、ヨーロッパのアプローチは、スナップバック(JCPOA で規定される、イランによる JCPOA の不履行を理由とした制裁の再発動メカニズム)とイラン案件の安全保障理事会への付託により脅迫することだった。

 こうして、ヨーロッパ側がこのようなアプローチを採ることが国内で懸念を引き起こしている。実際、イラン・イスラーム共和国は、米独仏英の将来的な計画に非常に懐疑的である。このため、イランが抑止力を高め、ミサイル・核計画を見直す考えが以前にも増して高まっている。

 当然のことながら、この点に関するわが国の外務大臣の発言は、平和的な核の道を歩むというイラン・イスラーム共和国の現在の政策からの逸脱を意味するものではない。しかし、アッバース・アラーグチー外務大臣のこの対応は、イランに対する敵意を強めようとする国々に対する一種の警告であるように思われる。このような状況では、イラン・イスラーム共和国はいつでも望むときに従来の政策や計画を見直すことができることを念頭に置くべきである。

 言い換えれば、現在の時点では、イラン・イスラーム共和国の計画は以前の政策と同じである。しかし、アメリカやヨーロッパが立場を変えて安全保障上の脅威が増大すれば、それを変更する可能性もある。

 このように、おしなべて米国や独仏英などの国々は、イラン・イスラーム共和国は身動きをとれないわけではなく、最大限の圧力を受ければ確実に最大限に抑止する行動に出るであろうことを認識しなければならない。


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翻訳者:KR
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