ゼレンスキー大統領アンカラ訪問、エルドアン大統領と会見
2025年02月18日付 Hurriyet 紙

レジェプ・タイイップ・エルドアン大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の首脳会談が終了した。両首脳は二者会談の後、会食に移った。エルドアン=ゼレンスキー会談は約3時間続いた。会談の後、エルドアン大統領とゼレンスキー大統領は記者会見を実施した。エルドアン大統領は、会見の際にアメリカ、ロシア、ウクライナ間での会談をトルコが主催する可能性があると述べた。ゼレンスキー大統領は、「トルコは、ウクライナの領土保全について常に非常に原則的だ。この戦争が恒久的な平和で終結するために、決して過ちを犯してはならない。」と述べた。
レジェプ・タイイップ・エルドアン大統領は、本日、ロシア=ウクライナ戦争の終結に向けて国際的な外交が活発な中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とアンカラで集った。会談では、トルコ=ウクライナの戦略的パートナーシップ関係があらゆる方向で検討され、両国間の協力を強化するために採るべき措置が議論された。訪問の中で、ウクライナの最新の動向やその他の地域的・世界的問題も議題に上がった。
会談の後、両首脳はカメラの前で記者会見を行った。
エルドアン大統領は記者会見で次のような発言をした
「親愛なる報道関係者の皆様に心から挨拶する。親愛なる友人ゼレンスキー大統領とその代表団を歓迎する。
4年目に入ろうとしている戦争において、ウクライナ国民に哀悼の意を表する。戦争の勝者、和平の敗者はあってはならないという考えのもと、平和の確立のため注力した。」
◾️「トルコは理想的な開催国になるだろう」
「2022年3月に直接交渉を主催し、黒海穀物イニシアティブを実現した。持たん限りの力で、信頼できる仲介者になるため誠実に全力を尽くし、具体的な成果を挙げた。トランプ大統領による戦争終結のための外交的な試みがある。この姿勢は我々が3年間実行してきた政策とも一致する。過去3年間活発な外交を行ってきたので、ロシア、ウクライナ、アメリカが会談するのに我が国は理想的な開催国となるだろう。トルコがウクライナの主権と領土保全を支持していることを表明した。会談が恒久的な平和につながるように、あらゆるサポートを行うと強調した。
親愛なるゼレンスキー大統領との議題では、我々の関係に関する話題が重要な位置を占めた。通商関係で採るべき措置を詳細に話し合った。ウクライナの領土保全のため戦うクリミア・タタール人の権利について、ゼレンスキー大統領の対応を高く評価する。彼らの訪問に感謝する。
ウクライナのゼレンスキー大統領は会見で次のように語った
◾️「トルコは常に原則に基づいて行動した」
「トルコでは、いつも通りのおもてなしに満足している。両国の関係は高いレベルにある。両国関係を、共通の必要な理解をお持ちでいることに感謝している。トルコは領土保全について常に非常に原則的である。今日、非常に重要な議題について話し合った。この過程、ロシアの始めた戦争が引き起こした諸々の結果について議論した。ウクライナ、ヨーロッパは、広い意味で交渉と安全保障の双方にアメリカを巻き込むべきである。これらは世界の一部に関わることである。この戦争が恒久的な平和で終結するために、決して間違いを犯してはならない。この交渉が成功すれば、これらの保証はこの国々が参加することで実現するだろう。親愛なるエルドアン大統領にこの点で感謝している。」
◾️我々の合意は繊細な領域を含んでいる
「二国間関係についても議論した。新しい合意や決定もある。現在、これらはとても繊細な領域を含んでいる。我々の孤児は現在トルコにいて、これは妻オレーナ夫人の関与しているプロジェクトの一つである。プロジェクトはエミネ・エルドアン大統領夫人と共に進められている。彼女らに感謝の意を表する。両国関係は続いている。我々は絶えず取り組んでいる。トルコとその他のパートナーと共に飢餓が数百万人に対して使われる武器にならないために協力している。そこには重要な機会があり、シリア人を支援する必要がある。教育プロジェクトに重大な進展があると確信している。夫人もこの問題に興味を持っていることを嬉しく思う。非常に様々なプロジェクトがあり、トルコではより数多く、それらは実現するでしょう。」
◾️質疑応答における首脳の回答
エルドアン大統領:ウクライナの領土保全と主権は、我々にとって非常に重要である。このことをトルコが尊重しているのをあらゆる機会を捉えて伝えた。あらゆる会議でこの話題を扱い、そうし続けている。今後の過程では、ウクライナの領土保全が我々にとっても必要不可欠である。平和には敗者はいない。一刻も早く平和の実現が保障されるべきである。私の大切な友人も平和を支持していると言っている。我が外務大臣の折衝の中で、この平和に関わる道のりを実現できるものと願う。」
ゼレンスキー大統領:「我々は平和を望んでいるが、公平な条件でそれが実現することを望んでいる。誰もがどの国とも何某かの検討はできるが、ウクライナ抜きでウクライナの戦争の終結を語ることはできない。サウジアラビアでのロシアの会談は我々にとって驚くべきものとなった。我々はメディアでこのことを知った。そこに誰が止まるのかは知らないし、関心もない。我々はオープンで、私はサウジアラビアに行かない。彼らの元首と連絡をとった。[サウジアラビアへの]訪問日は3月10日と定められた。アメリカについては、彼らをキエフで待っている。」
エルドアン大統領:「公正な平和の実現には、疑いなく我々が強力と知っている国々が平和を支持する姿勢を示すことが必要である。平和に敗者はいない。現在、全世界はロシア・ウクライナ間の戦争の和平を待ち望んでいる。早急に平和を実現しなければならない。非常に多くの人が命を落とし、殺害されてきた。これらの死を終わらせるべきだ。隣国として、私個人と我が外務大臣はウクライナ側の同等の地位にある者たちと共に平和の実現のための一歩を踏み出したいと考えており、穀物回廊の目的もこれであった。良い成果を挙げたが、継続できなかった。我々は仲介者となり、今後のプロセスでも続けたいと考えている。シリアに穀物を供給する点では、我々に送られた穀物をシリアに輸送した。これもシリア政府を満足させた。我々もシリア国民に代わって感謝する。このような困難な時期に、こうしたものを我々が仲介してウクライナから手にしたのは人道的な務めである。」
ゼレンスキー大統領:「武力ではどちらも勝利することはできない。ウクライナは独立を守ったが、非常に高い代償を支払った。国民の命を犠牲にしたのだ。外交が公正な平和への道を開く。我々が美辞を語っている間に、この交渉の当事者は誰も、平和の条件の中で捕虜の問題を取り上げていないが、状況はこの問題を叫び上げている。中東の戦争ではいずれにせよ、一般の人々は自宅へ戻る必要がある。捕虜となった数千人の我が国民を故郷へ戻さなければならない。もしプーチン大統領が戦争を終結させる意志があるならば、何よりもまず捕虜交換を行うべきである。その上で、安全保障を誰が提供するのか。こうした恐ろしい戦争が繰り返されないために必要なことである。ロシア軍が我々を占領したためではなく、どの侵攻においても、甚大な損害が発生しているからである。すべての人の命は計り知れない価値を持つ。そのため、ヨーロッパ諸国はこの希望をウクライナに与えることができるかもしれないが、残念ながら、EUからその支援の声を聞くことはない。彼らは我々のNATO加盟を支持していない。ここでは2つの問題が非常に重要である。強力なウクライナ軍と、強力な国々のウクライナへの派遣である。我々は軍の派遣について議論できる。エルドアン大統領ともこの件について話し合った。この戦争の動向は大きく加速した。安全保障について理解しなければならない。どれほど困難であろうとも、ウクライナは決して、法的にウクライナの領土をロシアの一部として認めることはない。」
◾️両首脳は会食へ移行
トルコのエルドアン大統領の招待を受け入れてトルコを公式訪問したゼレンスキー大統領は、エルドアン大統領との直接二者会談の後、会食に移った。会食は非公開で行われた。
非公開で行われた出迎えでは、ハカン・フィダン外務大臣、ヤシャル・ギュレル国防大臣、大統領府のファフレッティン・アルトゥン通信局長、およびアキフ・チャアタイ・クルチ大統領外交・安全保障主任顧問も出席した。
◾️トルコの発するメッセージに注目
戦争当初から今日まで、和平のための交渉の場をすぐに設けることに賛成し、仲介を含むあらゆる解決策を講じてきたトルコが、今回の訪問の際しても建設的なメッセージを発することが期待されている。訪問に関する公式声明を発表したファフレッティン・アルトゥン通信局長は、「レジェプ・タイップ・エルドアン大統領閣下は、招待を受け入れて我が国を公式訪問することとなったウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と2月18日(火)に大統領府にて会談する。会談では、トルコ・ウクライナ間の戦略的パートナーシップ関係をあらゆる側面から見直し、両国間の協力強化に向けた取り組みについて議論する。また、ウクライナの最新情勢やその他の地域・国際問題についても意見交換が行われる予定である」と述べた。
ゼレンスキー大統領は会談前に妻のオレーナ・ゼレンスカ夫人とともに、ウクライナの在アンカラ大使館建物の開所式に参加した。その後、アタテュルク廟を訪問した。
◾️「安全保障を求める」
公式訪問の一環として訪れたアンカラで、新大使館建物の開所式で演説をしたウクライナのゼレンスキー大統領は、「ウクライナは平和を望んでおり、戦争の終結を求めている。しかし、もちろん我々は当の戦争の終結が一定の安全保障に基づくものであることを望んでいる。この安全保障がアメリカ、欧州連合(EU)、トルコを含む全欧州によって提供されることを望む。」と述べた。
◾️重要なタイミング
ゼレンスキー大統領の今回の訪問を他の訪問と比べて特に重要なものにしているのは、タイミングである。ウクライナ大統領がエルドアン大統領とアンカラで会談していた時間にリヤドでは、アメリカ新政権とロシアとの間で初の高官間の直接対話が行われており、タイミングの重要性を具体的に明らかにしている。2月14日から16日の間に開催されたミュンヘン安全保障会議に参加したアメリカ当局が、「ウクライナ不在のウクライナ・ロシア停戦交渉」と定義されるプロセスを開始する旨のメッセージを発した直後に行われた今回の会談は、プロセスの今後の各段階にとって重要である。両首脳がアンカラから発するメッセージは国際社会から注目されている。
◾️ゼレンスキー大統領からの訪問に関する投稿
ゼレンスキー大統領は、アンカラでの会談について、自身のXのソーシャルメディアアカウントで投稿した。
ゼレンスキー大統領は、ウクライナがトルコとの関係、相互理解、戦争中の支援を非常に評価していると強調し、トルコの温かい歓迎と厚いもてなし、そして会談における建設的な姿勢に感謝の意を表明した。
ゼレンスキー大統領は、エルドアン大統領と、ロシア=ウクライナ戦争の終結に資する国際的プロセスや、ウクライナへの安全保障の確保に向けた取り組みの重要性について詳細に議論したと明らかにした。
またゼレンスキー大統領は、エルドアン大統領と、二国間の関係、経済問題、両社会の間の教育分野での協力、さまざまなプロジェクト、食料安全保障、そして「ロシアに拘束されているウクライナ人捕虜の解放」に向けた取り組みについて話し合った明かし、「トルコに対し、ウクライナとウクライナ国民に対して示してくれたあらゆる支援、我が国の国家主権と領土保全問題に関する揺るぎない立場に感謝している」と述べた。
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翻訳者:小玉桃子
記事ID:59701