モロッコ:スペイン司法当局がセウタの麻薬トンネル捜査への協力を要請

2025年02月27日付 al-Quds al-Arabi 紙

■スペイン司法当局はモロッコに対し、セウタの麻薬トンネルに関する捜査協力を求める

【ロンドン:本紙】

スペイン司法当局はモロッコ司法当局に対し、モロッコ領土(とスペイン)占領下セウタを結ぶトンネルに関して進行中の捜査における相互調整を要請した。同トンネルは、メキシコと米国との間のトンネルで実行されたのと同様の方法による麻薬の密輸に使用されたと考えられている。

ここ数日間で、スペインの治安警備隊(軍警察)は、廃倉庫から国境へと直接的に延びるトンネルを発見した。同国内務省からの情報によると、同トンネルは深さ12メートルに位置し、モロッコとの国境まで延びている。同トンネルの起点を特定するためには、モロッコ領に延びる部分についてはモロッコが担当する必要があるため、現時点では治安警備隊は捜査を完了することができていない。

『エル・パイス』紙は水曜日版で、司法関係筋からの情報を引用しながら、これらの問題を管轄するマドリードの国家裁判所がモロッコ当局に対し司法要請を送ったと報じた。この要請は、モロッコの関係機関に対し、先週セウタの廃倉庫で発見され、国境の向こう側へと通じている麻薬トンネルの捜査に協力するよう求めるためのものであった。

2023年中頃から、スペイン治安当局は、モロッコからセウタへと続く未知の麻薬通路の存在について疑念を抱くようになった。その契機となったのは、セウタ港からジブラルタル海峡の対岸に位置するアルヘシラスへ向かう貨物トラックに3トンの大麻が積まれているのが発見されたことである。

この事態が注目を集めたのは、モロッコからスペインへの輸出貨物の中に大量の麻薬を隠したトラックは、アルヘシラスに向かう際には通常セウタ港ではなくタンジェ新港を経由するためである。さらにモロッコとセウタの間の国境検問所では貨物の通過が認められておらず、検査の過程も厳格であるため、一部のモロッコ人やスペイン人が自家用車で数キログラム規模の麻薬を密輸する程度にとどまっていた。

セウタ港で大量の大麻が積まれたトラックが繰り返し押収されるようになったなかで、治安警備隊は、約1年にわたる捜査のすえ、大麻が何らかのトンネルを通じて密輸されているとの結論に達した。そして先週には、同様のトンネルが実際に廃倉庫で発見され、政治家、商人、治安警備隊の隊員を含むギャングのメンバーらが逮捕された。

治安警備隊はこのトンネルが不法移民の密入国に使用されていた可能性を排除し、用途は禁制品、特に麻薬の密輸に限定されていたとみている。また摘発されたギャングのメンバー全員ではなく、一部のみがこのトンネルの存在を把握していたことから、その存在は秘匿されていたと考えられる。

治安警備隊は現時点で、このトンネルの使用開始時期や、ヨーロッパからの幻覚剤を含む麻薬などの禁制品が同様の経路でモロッコへ輸送されていた可能性については把握していない。またこのトンネルを掘ったギャングは、コカイン密輸のために米国との国境に多数のトンネルを掘ったメキシコのギャングを模倣したものとみられている。

モロッコ当局は現在のところ、本件に関する公式声明を発表しておらず、自国領内にあるトンネルのもう一方の出口や、スペイン司法当局の要請についても言及していない。

治安警備隊は、セウタとメリリャの両都市とモロッコ領との国境に、他のトンネルが存在する可能性を捜査している。両都市はモロッコ北部に位置し、現在はスペインが占領しているが、モロッコはその返還を求めている。


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翻訳者:新藤花絵
記事ID:59753