ハーバード大カファダル教授、罷免ーイスラエルの圧力?
2025年03月30日付 Hurriyet 紙

ハーバード大学の中東研究センターのトップである歴史家ジェマル・カファダル教授と助手のロージー・バシャル氏が罷免されたと伝えられた。ハーバード大学ユダヤ系卒業者組合は、5月に発行されたレポートでイスラエル・パレスチナ紛争において、公平性を欠いたアプローチを行ったという訴状によって、センターとそのトップであるカファダル教授を目標としたようだ。
世界有数の大学と認められているハーバード大学の中東研究センターのトップにいる ジェマル・カファダル教授とその助手ロージー・バシャル氏が、ハーバード・クリムゾン の報道によれば、社会科学学部の臨時学部長デヴィッド・カーター氏によって職務を罷免された。とりわけ昨年アメリカの大学キャンパスで始まったプロテスト活動の後でパレスチナを支援し、イスラエルを批判するすべての人々は、学生もしくは教員であることの如何にかかわらず標的とされている。ハーバード芸術と科学学部報道官のジェームス・チショルム氏は、この問題に関連する主張について回答をすることを拒否しながら、これが「 個人的な問題」であることを主張した。
■イスラエルグループがリスト化
ハーバード大学ユダヤ系卒業者組合によって5月に発行された報告書によれば、カファダル氏が運営する中東研究センターが標的にされたようである。センターは、イスラエルを占領そして入植政策をおこなう政府として提示し、民族主義、アパルトヘイトそしてジェノサイドの罪状について記載をしている、と主張された。ユダヤ人グループたちによって用意がされた報告書では、センターが地域におけるその他の問題に対して十分に検証を行っておらず、またイスラエル-パレスチナ紛争に対して公平性を欠いた形で集中していると批判を行った。またカファダル氏が学生たちに対して、パレスチナ寄りの見解を示したということに関する主張を含め、偏っていると主張がされている様々なイベント、そしてプログラムが前面に出されている。
もう一つ他のユダヤ人グループであるカナリー・ミッションも、今週トルコ人学生ルメイサ・オズトゥルク氏が、アメリカ警官隊によって逮捕されたために、リストに名前を入れられて、さらにオズトゥルク氏は「反ユダヤ」であると主張をされたが、この証拠として示されたのはただ共同執筆者だったから、という記事を示した。
■ハーバード大学圧力に抵抗せず
大学広報誌によれば、最近のハーバード大学は、「反ユダヤ主義」の主張をしている、もしくはそれと結びついている組織が「イスラエルに対しての批判によって」議題にのぼっている大学プログラムに対して、世論の前にその間に距離を置く方向で進んでいる。
ハーバード大学公衆衛生は学部は、西岸のビルゼイト大学とともにおこなった共同研究が延期され、この組織に対しての結びつきを断つという方向で繰り返された要求に頭を下げた。
■コロンビア大学学長辞任
一方で、金曜日にはコロンビア大学学長のカトリーナ・アームストロング氏が職務を辞する必要になってから9ヶ月後に、辞任すると発表した。このどちらの辞任も、大学のキャンパスにおける「反ユダヤ主義」の事件に対して十分な対策を講じなかった」という批判の後に起こった。アームストロング氏の辞任は、ドナルド・トランプ政権によって、凍結された4億ドルの研究資金を再び供給することについて話し合うために、大学がトランプ政権の要求を認めてから数週間後にやってきた。トランプは、大学のイスラエルを非難するアプローチの声を打ち消すことに対する、政策の変更をおこなうために400万ドルの連邦資金を凍結した。
■ジェマル・カファダル氏は誰か?
1954年イスタンブル生まれのジェマル・カファダル氏は、中東教育をイスタンブル 男子高校とロバートカレッジで修了した後に、カナダマクギル大学のイスラム研究センターでオスマン帝国史について修士課程と博士課程を修了した。ジェマル・カファダル教授は、1990年以来、ハーバード大学の教育者の一翼を担っている。ジェマル・カファダル氏は、2010年に共和国大統領文化・芸術大賞を受賞している。
■学問の自由にとって憂慮すべき事態
ジェマル・カファダル氏がハーバード大学の職務を罷免されたことをトルコ歴史研究者は以下のように評価をしている。 ハルク・オラル教授:「彼は非常に有能な歴史家です。いつも、その研究に対して、学術的な見解に対しては敬意を表される人物でした。このような罪状によって、職務を罷免されるというのは異常なことです。弁解の余地はありません。学者の思想、その見解によって、このような取り扱いをい受けるというのはアメリカだけでなく、世界のどこであってもありえないことです。」
メフメト・オ・アルカン氏:「ジェマル・カファダル氏は、トルコの歴史上における特別な専門家です。非常に価値のある人物です。シオニズムに反対することと反ユダヤ主義を混同しています。イスラエル政府が、暴力に基づいた政策に対して反応をすることは、ユダヤ教に反対することとは違うのです。」
トゥファン・ギュンドゥズ教授:「彼はその分野において大変成功を収めている学者です。何年間にも渡ってハーバードで仕事をしています。この問題を、科学者そしてまた倫理観を持った一人の人間として取り上げていました。この問題における姿勢、その誠実さは変わりませんでした。しかしながらすべてのアメリカとヨーロッパの支配を受けたユダヤ教条ーシオニスト精神の果に、彼も標的となったのです。」
アリ・サタン教授「全く受け入れられない状況です。ハーバード大学のような大学がこの決定をするというのは学術の自由と思想の自由の観点から非常に憂慮すべき事態です。現在に至るまで、「自由の国」と見られていたアメリカが、この種の禁止的な態度をとっていることは学術と思想の自由の名の下において、憂慮すべきことです。ジェマル教授の仕事はトルコと国際社会によって、その動向が注目されています。私は彼とともにあります。」
■テキン氏:思想の自由に対する侵害
国家教育省ユスフ・テキン氏は、ハーバード大学中東研究センター 局長のジェマル・カファダル教授とその助手ロージー・バシャル氏が反ユダヤ主義の罪状によって職務を罷免されたことに遺憾の意を表明した。
テキン大臣が、ソーシャルメディアアカウントからおこなった投稿では以下のように伝えている。「ナタニエフ政権が、ガザでおこなった人道に対しての罪について言及をするすべての声を『ヘイト』として断罪することは、真実を統制する戦略の一環だ。この決定は、大学の独立をシオニスト政権のメカニズムに明け渡してしまおうとする行為だ。」
-AKP副党首・政党報道官オメル・ジェリク氏:ハーバード大学中東研究センターにおける職務からジェマル・カファダル氏とその助手ロージー・バシャル 氏が、職務から反ユダヤ主義の罪状により、罷免されたことに遺憾を示した。
高等教育機関 (YÖK) のエロール・オズバルはカファダル氏とバシャル氏がその職務から反ユダヤ主義の罪状によって罷免されたことを非難した。
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翻訳者:堀谷加佳留
記事ID:59894