イランの春、ラマダーン月の春 カドルの夜のイフタール食事配布所の雰囲気を簡単に紹介

2025年03月21日付 Hamshahri 紙

 ラマダーン月の夜がカドル(※訳注1)を得て、ノウルーズの雰囲気も変わった。このカドルと変化により、首都テヘラン最古の文化会館、バフマン文化会館の出入りも変化している。

【ハムシャフリー電子版−サハル・ジャアファリヤーンアスル】イフタール(断食明け)の時間になると、「クルアーンの春、イランの春」の食事配布所に向かう人々が行き交う。

◆イフタール(断食明け)前の新春セール
「クルアーンの春、イランの春」の食事配布所の手前には、バハーレ・バーザールの露店が数多く立ち並び、道行く人々がそこに向かっている。ある店は、乾燥種実類や伝統的な食べ物を売り出し、ある店には衣服が置かれ、新春セールが開催されている。断食を行っている者たちは、買う者も買わない者も「もうすぐイフタールの時間だ......」と時計に目を遣る。中には断食中の子供たちもいて、キャッレ・ゴンジェシュキーの断食(※訳注2)で空腹でありつつも喜びをかみしめている。



◆食事配布所の準備をするスタッフたち
 この時間には、簡素なイフタールの食事を時間通りに提供するために、「クルアーンの春、イランの春」の食事配布所スタッフたちは、断食中にもかかわらず忙しく働いている。彼らはサモワールを火にかけ、プラスチックのトレイの上に使い捨てのコップを並べている。 ガンド入れにカルダモン風味のガンドをたくさん入れ、大皿にはココナッツパウダーをかけたデーツを一杯に載せて、ラーレ・アッバースィーの燭台(※訳注3)に火を灯す。

◆受け入れられる断食と聞き届けられる祈り
 イフタールの食卓で余ったものも、日産車のリアコンパートメントから「クルアーンの春、イランの春」の食事配布所に運ばれる。日が暮れると、文化会館敷地内のスピーカーからアザーンの声が聞こえてくる。断食中の通行人が次々と近づいてくる。スタッフたちは使い捨てのコップやエステカーン[ティーグラス]に淹れたてのシナモンティーを注ぐ。「神様に受け入れられましょう、お兄さん…神様に受け入れられましょう、お姉さん…」聞こえるのは、真実の言葉の受け入れと祈りの言葉である。この食事配布所はイフタールとノウルーズの期間中、毎晩18時30分から23時まで開設されている。


※訳注1:「カドル」は「神の威力」「神の意思決定」等の意。記事タイトルにある「カドルの夜」は、預言者ムハンマドにクルアーンの最初の節が啓示されたとされる夜。アラビア語ではライラトルカドルといい、「みいつの夜」「定めの夜」などと訳される。ラマダーン月の最後の10日のうちの奇数日の1夜であるとされる。27日の夜とする学者が多い。

※訳注2:キャッレ・ゴンジェシュキー(ミートボールの意味)の断食は、断食の一種で、定められた年齢に達していない子供や10代の若者が、朝の礼拝の呼びかけから昼まで、時には昼の礼拝から日没までの半日の間、断食を無効とするものを断つことである。

※訳注3:チューリップ型の燭台で、芸術のパトロンでもあったサファヴィー朝の王アッバース1世にちなんで名づけられた。


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翻訳者:SK
記事ID:59973