レバノン:音楽家協会会長がファイルーズ死亡説を否定

2026年04月30日付 al-Quds al-Arabi 紙

■レバノン音楽家協会会長、ファイルーズ死亡の噂を否定し、彼女の無事を確認

【カイロ:本紙】

昨今SNSプラットフォームと検索エンジンは、アラブ歌謡界のアイコン的存在であるファイルーズが91歳に達する年齢で死去したと主張する、出所不明の噂の激しい波によって騒然となった。このニュースは、彼女が集中治療室にいるとする、AI技術によって捏造された画像の拡散に後押しされるかたちで、たちまち世界的なトレンドへと変わった。それによってレバノンおよびアラブの世論は状況を見守る状態を余儀なくされ、「月の隣人」という愛称で知られるファイルーズの運命をめぐる論争に終止符を打つための、公的な確認・否定を待つだけとなった。

デジタル上で高まる騒動を受けて、レバノンのプロ音楽家協会のファリード・ブーサイード会長が、これらの憶測に歯止めをかけるための決定的な声明を出し、「ファイルーズ氏の死去に関して流布されている全てのことは全く真実性を欠く」と確認した。さらにブーサイード氏は、多くのインプレッションの達成だけを目的とした虚偽のニュースに、自身の名が押し込まれていることを非難した。そして同氏は、ファイルーズ氏が今もなおラービヤ地区にある私邸に居住しており、年齢に相応する自然な健康管理を受けていると明らかにした。またメディアに対して、職業的責任のある行動をとることと、公的な情報源を確認しないままに偉大な国家シンボルに関連するニュースを流布しないよう呼びかけた。

音楽家協会や事情に通じたレバノンメディアは、今回の噂の強い再燃を、この偉大なアーティストが昨年から経験している困難な精神状態と結びつけた。彼女は数か月以内にズィヤードとハリーという2人の息子を失い、「悲しみの年」と表現される1年を過ごしていたのだ。

2025年7月に作曲家ズィヤード・ラフバーニーが闘病の末に死去したのに続いて、2026年1月に末息子のハリー・ラフバーニーが死去したことがファイルーズを悲しませた。ファイルーズは障がいを持つハリーのケアに時間の大部分を捧げていたため、彼は彼女の人生における人情的営みを体現するような存在だった。そしてこの人間的隠遁と、喪に服し休養する期間、表舞台から自発的に身を引く行為によって、彼女の不在は、繰り返される憶測を呼ぶ格好の材料となってしまった。
 
ファイルーズが示す多大な象徴性を鑑みると、彼女に関するいかなるニュースも、単なる芸能ニュースを越えて、国家的な側面を持つ公共の問題となる。1934年にベイルートのズカーク・ブラート区で生誕したヌハード・ハッダードは、単なる歌手ではなく「星々への大使」であり、そしてレバノンの国家的統一の象徴であった。彼女は1950年代に(アースィーとマンスール)ラフバーニー兄弟とともにデビューして以来、独自の芸術流派を築き、アラブ音楽に変革を引き起こした。レバノンとビザンツの伝統から着想を得ながらそれらにグローバルな現代性を混ぜ合わせ、全ての国民を包み込む「雲でできた」祖国を描く芸術的構想を提示したのである。

(後略)


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翻訳者:遠藤美佑
記事ID:61887