2006年12月16日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
木曜日の夜ラファハ通行所で、パレスチナのイスマイール・ハニーヤ首相の暗殺未遂事件が起き、護衛一人が死亡、首相の息子や政治顧問が負傷したことにより、パレスチナの人々が内戦の淵に来ているのかもしれないとの懸念が増大している。反目し合う二つのグループ、すなわち現政権を担うイスラーム抵抗運動「ハマース」と前政権を担っていた「ファタハ」の両者から成る挙国一致内閣を樹立するための話し合いは、ここ数ヶ月にわたって失敗してきた。
ハマースは、ファタハの大物指導者であり治安防衛隊の司令官を務めていたムハンマド・ダハラーンが暗殺未遂事件の裏にいると非難した。次いでハマースの国会内会派のハリール・アル=ハイヤ代表は、ガザ地区で集まった群衆の前で次のように問いかけた。「マフムード・アッバース(パレスチナ大統領)よ、いかなる戦争を神に対して、そしてハマースに対して宣言するというのか?」
在ダマスカスのハマース関係者は、アッバース大統領が「選挙で選ばれた政府を打倒するためにアメリカのコンドリーザ・ライス国務長官と手を組んでいる」と非難した。
ファタハもまた、ハマースが分裂を煽っているとの非難で応じている。ファタハの指導者であるアブドゥッラー・アル=イフランジーは、ハマース関係者らの発言が「パレスチナの民衆の間に緊張を高め、内戦に繋がりかねない排外的な心理を煽る」ことになっている、と述べた。
双方の間での言葉による戦争に伴い、治安上の警戒と緊迫がヨルダン川西岸地区にも達し、アッバース大統領を支持するパレスチナ治安部隊がハマース派と衝突し、34人が負傷する結果となった。
こうした展開はアッバース大統領が演説を行う直前に起こった。この演説でアッバース大統領は大統領選挙および議会選挙の早期実施を呼びかける可能性があるが、ハマースはこれを拒否している。パレスチナ政府はこの演説のために開かれる会合への出席を拒否している。
イスラエルの「マアリヴ」紙が伝えるところによれば、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領はパレスチナのハニーヤ首相に対し、先週テヘランで両者が会談した際、4ヶ月後にイランは中東地域の戦略的パワー・バランスが変わるとの劇的な声明を出すので、それまでパレスチナの人々は静かに待つのが良い、と伝えたという。イラン政府は、核開発を完了し核エネルギーの自産能力を獲得したとの宣言を出すと予想されており、アフマディーネジャード大統領はこの宣言のことを仄めかしたのだと同紙は見ている。
■ ライス長官はアッバース大統領を支援
ワシントンでは、ライス国務長官がロイター通信社とのインタビューの中で、「我々は治安機構の改革を強化するために(アッバース大統領の部隊に対する)資金の援助を要請する。支援が得られるだろうと考えている」と述べ、援助が数千万ドルに及ぶことを付け加えた。
URL: http://www.tufs.ac.jp/common/prmeis/data/nahar/061216nahar_um.mht
(翻訳者:森本詩子)
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