2006-9-4  1万人のアメリカ在住ムスリムがハータミー師を歓迎:内外から非難の声も シャルグ紙

2006年9月4日付シャルグ紙1面

【政治部:アクバル・モンタジャビー】1万人のアメリカ在住のムスリムが、セイエド・モハンマド・ハータミー・イラン前大統領のアメリカ訪問を歓迎した。

 シカゴにあるバイトゥルイルム・モスクの責任者らは、ハータミー師が同モスクで講演を行うことが決定して以降、「同師の講演を聞くための申し込みの手紙の山に埋もれてしまう」ほどの関心を集めたという。他方で、イスラエルの政治家・政府当局者らの一部は、この訪問を厳しく批判した。

 金曜日、ニューヨーク市にあるジョン・F・ケネディー空港に降り立ったハータミー師は、アメリカ国務省の通常の入管手続きを経ることなく、来賓用の特別車両でホテルへと向かった。同師は今日まで、アメリカ、及びカナダ両国の政治家やジャーナリスト、ムスリムたちの注目の的となっている。ハータミー師は、過去27年間アメリカを訪れ、諸州を訪問したイラン人の中で、もっともハイレベルな人物だ。

 ハータミー師はシカゴ市で、多くのムスリムが集まった集会に参加した。AP通信によると、1万人以上のカナダ、及びアメリカ市民が参加した同集会で、ハータミー師は90分間にわたり講演を行い、ジョージ・ブッシュ米大統領の政策を厳しく批判、同大統領の外交政策は「テロの引き金」となっており、世界中に暴力をまき散らしていると断じた。

 同師はまた、広大なアメリカの地に住むムスリムに向けて、平和と安全のレベルを向上させるための「重要な役割」を果たすよう呼びかけた。イラン前大統領はさらに、アメリカ国民は「偉大な国民」であるとし、「正しい信仰を有し、人類に対して懸念を共有している二つの社会は、協同することが可能だ。対話は、この二つの社会がともに寄り添うことに貢献するものだ」と語った。シカゴ・トリビューン紙はこのことについて、「ハータミー師はアメリカ国民に対して、文明間の対話を確立するよう呼びかけた」と報じた。

 すでに明らかになっているように、ハータミー師はカーター元米大統領と会談する可能性が高い。このカーター元大統領との会談、及び核問題について、多くのジャーナリストが、ハータミー師に見解を求めたが、これに対してハータミー師とその同行者らは、沈黙を守った。シカゴ・トリビューン紙は「記者団に対してハータミー師が沈黙を通したことで、カーター氏との会談の可能性は不透明なものとなった」と報じている。

 ハータミー師をアメリカに招聘した、アメリカ・イスラーム協会の新理事長イングリッド・マットソン女史は、同師を招聘した理由について、アメリカのムスリム協会が自由や宗教、寛容といった問題に対していかなる対応をしているのかを、ハータミー師に知ってもらうことだとした上で、「ハータミー師がこれらのメッセージの一部を、自国に伝えることもありうるだろう」と述べた。

 ▼ ハータミー師のアメリカ訪問に対する内外の反響

 イラン国外で多くの反響を喚起したハータミー師のアメリカ訪問については、イラン国内からも、一部非難の声が上がっている。

 アメリカでは右派のニューヨーク・サン紙がハータミー師のアメリカ訪問を批判し、次のように書き記している。「ハータミー師はこれまで何度も、罪深きシオニスト体制について語っており、イスラエルの非妥協的態度はアメリカをも憤慨させているなどと言っている。2001年4月には、イラン国営通信がハータミー師の発言として引用したところによると、シオニズムは虚偽の優等思想と人権侵害に基づくものだと語っている」。同紙はさらに続けて、「『暴力の時代における寛容』というハータミー師の講演の題目は、講演に参加している人々の意識に対する侮辱である」と書いている。

 国内ではまず初めに、ケイハーン紙がハータミー師のアメリカ訪問を批判している。同紙は「今は訪問の時期ではない」と題した抗議の論説を掲載し、「ハータミー師がワシントンを訪問することを決意した時、アメリカで開かれるWHOの公式会議への参加を予定していたカームラーン・バーゲリー=ランキャラーニー保健相に対し、アメリカ政府はビザの発給を認めなかった」と指摘、さらに続けて「国連安保理でイランの問題に対する検討が開始されて以降、核問題を担当するイランの外交官は誰一人として、安保理会議に出席したり、ニューヨークで外交交渉を行うための、アメリカへの入国ビザを得られなかった」と記した。

 ケイハーン紙はハータミー師のアメリカ訪問を批判して、次のように問うている。「このようなイスラーム共和国の公式の政府当局者に対する侮辱的行為がアメリカ側より行われているにもかかわらず、どのような理由でアメリカ政府はこれほどまでに簡単に、またハータミー師に対するどのような思惑があって、ビザを発給したのだろうか。もっと重要なのは、ハータミー師はいかなる理由で、またどのような正当な理由によって、このような非礼を容易に見逃し、新世界への気ままな旅をしようなどと思うのだろうか」。

 〔中略〕

 国内でのハータミー師に対する批判は、ケイハーン紙にとどまるものではなかった。マフムード・アフマディーネジャード政権の政府報道官であるゴラーム=ホセイン・エルハーム氏の妻ファーテメ・ラジャビー女史は、ハータミー師に対して、もっとも辛辣な批判を行っている。同女史は、《原理主義派》が運営するインターネット・サイトに掲載されたコラムの中で、ハータミー師のアメリカ訪問を、イラン前大統領に対するアメリカ人の「お駄賃」であると揶揄している。

 このようなハータミー師に対する非難は、一部の原理主義派の人物による同女史への厳しい批判を惹起している。第7議会のエシュラト・シャーイェグ議員は、「ハータミー師は革命を支える柱の一人」であると強調し、記者らに対して「ラジャビー女史の発言は、低俗である。誰も革命を支える柱を侮辱してはならない」と語っている。

 《闘う宗教指導者協会》のセイエド・レザー・アクラミー師も、ファーテメ・ラジャビー女史の表現を、「理性的でもなければ、聖法にかなったものでもない。倫理的に許されるものでもなければ、現実的なものでもない」と批判する。同師は「最高指導者は二度にわたり、ハータミー師の大統領就任を認めた。閣下は何度も、ハータミー師を支持し、同師に対して親愛の情を示してきた。それゆえ、ハータミー師に対するラジャビー女史の言い方は、間違いなく最高指導者に対する侮辱でもある」と語った。

 〔後略〕

URL: http://www.sharghnewspaper.com/850613/html/index.htm

(翻訳者:斎藤正道)

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