セゼル大統領公式発表:「新たな世俗主義の定義は憲法に適わない」
2007年02月05日付 Hurriyet 紙

 アフメト・ネジュデト・セゼル大統領は、憲法と憲法裁判所の判決において、世俗主義が明確に定義された中、(条文上の)具体的根拠を問題として世俗主義を(再)定義しようとする営為、あるいは「根拠上の定義を自己流に解釈すること」は全く有効ではないとし、この取り組みは憲法にそぐわないと強調した。

セゼル大統領は、世俗主義原則が憲法に盛り込まれた70周年を機に、声明を発表した。

同大統領は、現代世界の概念と諸価値を基礎に据え、文明のあらゆる可能性を国民に提示する目的で、崇高なアタテュルクの指導力のもと建国された共和国は、普遍的な目標に到達するため今も歩みを続けている、と説明した。

また、「崇高なアタテュルクは、現代化は、分析者が(机上で)考えて世俗主義を内面化させた教義によってではなく、合理主義と科学とを重要視する自由な個人を育成することによって達成されるであろうと見ており、この方向における変革を可能とする偉大な一連の改革(を実施し)、社会の要請に沿って実現しました」と述べた。

■ 「世俗主義は現代性の基礎」

セゼル大統領は、共和国が成し遂げた成功の背景には、現代性の基礎である世俗主義原則があったことを強調し、次のように述べた。

「トルコ革命の軸である世俗主義原則は、現代化と社会的変革という考えを実現に至らせました。世俗主義原則が体得され実行されたのは、崇高な指導者アタテュルクが国民の問題に対し、現実的で合理的な解決策を引き出す模索をおこなった結果でした。アタテュルクは、世俗主義によってトルコ社会を文明化し、合理的で人間的な思想体系を体得して将来を方向付けるのを目標としたのであり、現代文明の水準に到達しうることとは、特に国家の社会的・法的枠組みが宗教的規則から脱することに負っている、と信じていました。」

さらに、同大統領は、自由と民主主義は世俗主義によって保障されていると述べ、トルコはこのようにして現代的諸国家と価値体系の中に参入し、そこに留まることができると強調した。

■ 「ウンマ主義から国民主義へ」

セゼル大統領は「世俗主義は、トルコがウンマ(信徒の共同体)主義から国民主義へ、臣民意識から同朋意識へ、盲信性から現代性へ向かうシンボルである」と述べ、当初はエルズルム会議における決定で唱えられた世俗主義原則は、共和国が建国された後、行政、教育、社会生活、そして法制度において徐々に定着したと語った。

同大統領は、1937年に憲法に盛り込まれた世俗主義原則には、1961年および1982年(に改定された)憲法においても特別な重要性が与えられており、(ひいては)この原則が、国家の不変の基本的特質として位置付けられた、と述べた。

■ 「世俗主義は、信仰を良心における聖域として保護する」

セゼル大統領は、声明において次のように述べた。

「世俗主義とは、核心からみると、国家が宗教的な規則によって形成されないこと、宗教的権威から独立した政治的機構が組織されること、理性と科学が国家と社会生活において力をもつこと、国民が法の前で平等であること、および敬意を払うことを見積もったひとつの生き方です。世界の諸問題を、科学的・合理的観点から眺めることを見積もっていた世俗主義は、信仰を良心における聖域として保護し、異なる信仰、思想、方針が、平和、寛容、そして自由な環境の中で共存する可能性を提示しているのです。」

■ 「世俗主義は憲法に定義があった」

セゼル大統領は、トルコ共和国の建国の精神とよりどころとする諸原則は、現代的な国家と生き方の基礎を成している、と強調した。また、憲法の前文と特に第24条により、憲法解釈をする権限のある唯一の組織である憲法裁判所は、諸々の判決において世俗主義原則の意味と定義を、わが国の社会的現実に照らして明瞭な形で見出している、と述べ、次のように続けた。

「世俗主義とは、宗教と良心の自由(のみを保障するもの)ではありません。世俗主義は、全ての自由、この文脈において宗教と良心の自由を保障するものです。世俗主義とは、宗教が国事、政治、そして社会生活に絶対に介入しないこと、国家の社会的、経済的、政治的、法的な基本体制が、部分的であれ、宗教的規則に基づくことができない体制の名称です。

憲法と憲法裁判所の判決において世俗主義の明確な定義付けがなされた中、(条文上の)具体的根拠を問題として世俗主義を定義しようとする営為、あるいは『根拠上の定義を自己流に解釈すること』は全く有効ではなく、この取り組みは憲法に適いません。わが国は、世俗的、民主的、現代的な生活の選択に決して妥協はしないでしょう。

トルコ共和国の基本的特質をなす世俗主義原則が、トルコ共和国憲法に採択された70周年をお祝いします。トルコが過去同様に、今日、そして将来においても知性的で現代的な国家であり続けることを改めて強調し、国民の皆様のご健勝をお祈りいたします。」

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( 翻訳者:幸加木 文 )
( 記事ID:10101 )