社説:アメリカの無人航空機リビアに
2011年04月22日付 al-Quds al-Arabi 紙

■リビアにアメリカの無人航空機
リビアにアメリカの無人航空機

2010年04月22日『クドゥス・アラビー』

【本紙】

アメリカのモラン・マイク共同参謀幕僚長は昨日[21日]リビアの軍事的状況は膠着状態へと向かっていると認めた。おそらく、この発言はバラク・オバマ米大統領が現場での状況打開のためリビアの反乱軍を支援するための無人航空機の派遣を許可したことの説明となるだろう。

リビアにおける欧米の軍事介入は徐々に程度を増し、フランスもイギリスもイタリアも皆リビアの暫定国民評議会が拠点を置いている町ベンガジへ、同評議会傘下の部隊の訓練のために軍事専門家や軍事顧問の派遣を急いだ。一方、フランスのニコラ・サルコジ大統領はリビアのムアンマル・アル=カッザーフィ-(カダフィ大佐)の部隊を標的とするNATOによる空からの攻撃を強化すると約束した。

米国とフランスはの両者は、アル=カッザーフィー体制が血まみれであることや、同体制とその治安部隊が最近のミスラータをはじめとするリビアの諸都市で行っている過去・現在の虐殺について意見が異なるわけではない。しかし、両者の意見が同じであることは、欧米によるリビア危機への介入を無警戒に強化することを意味しない。介入強化とは、軍事解決に依拠し、停戦や、絶望的なリビア人民の流血回避につながる、政治解決の余地を全く開かないことである。

アメリカの殺傷力のあるミサイルを搭載した無人航空機はアフガニスタンでターリバーンや“アル=カーイダ”の分子を追跡するために特にパキスタンとの国境地帯で大規模に使用された。その結果は全くの大惨事だった。

アメリカがその地位に就任させたアフガニスタンのハーミド・カルザイ大統領は、2001年の9月11日事件以後アメリカの軍隊や航空機、戦車とともにやってきたが、これらの航空機による攻撃で数百人の武装していない市民が殺害されたことに激しく不満を口にした。同大統領はその航空機の使用をやめることを求めた。同じことをパキスタンのアーシフ・ザルダーリー大統領も求めた。そのため、オバマ大統領は同盟国の怒りを鎮めようと当該航空機の数を減らした。

多くの血が流れる試練はリビアでも繰り返されるだろう。我々はこれらの航空機が標的を外し、依然としてアル=カッザーフィ-の治安部隊の制圧下にある諸地域で、リビアの民間人の多くが犠牲となるのを目にするだろう。というのも、アフガニスタンで起きたことや起きていることを考えるとその攻撃の精度は非常に低いと思われるからだ。

中でも最も重要なのは、イギリスやフランス、イタリアが軍事専門家をリビアの反乱軍の戦闘訓練に派遣したことを、民間人の保護を口実として戦車・装甲車を装備した地上軍を派遣する先駆けになるかもしれないと信じている者がいることである。ロシアのラブロウフ外務大臣は、複数の記者会見で率直にこれについて語った。
リビアの暫定国民評議会のアブドゥルハフィーズ・グーカ報道官は、反乱軍は包囲された諸都市の市民に人道的支援が届くことが保証されるとして、欧米の地上部隊を歓迎していると述べた。同氏は、例としてミスラータを挙げた。同氏の発言は、これらの部隊が到着する準備をしていることを意味しており、近い将来反乱軍と協力して戦闘に参加することについて、それらの部隊に法的正当性を与えるものである。

オバマ大統領はイギリスのキャメロン首相、フランスのサルコジ大統領との共同声明の中で、「リビア元首カッザーフィ-が政権を離れるだけでなく、完全にリビアから離れなければならない。我々はリビアの体制を変えることを実現する新しい段階に備えなければならないと信じている。」と述べた。


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( 翻訳者:松尾愛 )
( 記事ID:22238 )