自由シリア軍の戦闘力が向上。対空兵器を手に入れた場合、「安全地帯」が生まれる可能性も。
2012年08月13日付 al-Hayat 紙


自由シリア軍の戦闘力が向上。対空兵器を手に入れた場合、「安全地帯」が生まれる可能性も。

2012年8月13日 『アル=ハヤート』

【ドバイ:リヤード・カフワジー】

シリアでの戦闘状況を巡って漏れ伝わる報告や動画から、自由シリア軍が対装甲車戦での戦闘能力を向上させていることが明らかとなった。あるいは少なくとも、シリア政府軍の装甲車に対して大きな損害を被らせるような攻撃の戦術をとっていることが示された。実際、激しい戦闘が発生している村落や市街の入り口に加えて、国内の大半の地域における幹線道路や主要道路は、破壊され炎上した政府軍の戦車や装甲車の墓場と化している。

また自由シリア軍は、相当の数の戦車と装甲車を奪い取ることに成功している。このことは、政府軍兵士の士気がどれほどまで落ち込んでいるかを示すものだ。政府軍兵士の多くは、待ち伏せに出くわしたり、囲まれそうだと感じた瞬間に一目散に逃げ出している。革命勢力が、政府軍に対して待ち伏せ作戦を成功させる力があることから、通信システムの確保を重視していることは明らかだ。それ故に、政府軍は兵站面で影響を被っている。

観測筋は、革命勢力の数がかなり増加したと認めている。革命勢力はある戦闘において数千人規模の兵士を動員することができるようになった。革命勢力は、アレッポの戦闘では政府軍を相手に日々続く対決において戦闘力を維持しており、またダマスカス、ヒムス、ハマー、ダイル・アッ=ザウル、イドリブ、ダルアー、ラタキアといった戦線でも同様の力を示している。一方で、アル=アサド政権指導部は、戦闘が各地に拡大する中で、全国に部隊を展開させることは難しいと悩んでいるようだ。

離反の規模とレベルが拡大し、自由シリア軍が、政府軍や治安機関に浸透できるようになった。こうした中、アサド政権指導部は、完全な忠誠を誓い、ほぼ一つの宗派(※訳注:アラウィー派)に染まっている限られた集団に、かなりの程度、否、ほぼ全面的に依存するようになった。こうした傾向は、とりわけダマスカスやアレッポ、西部の地中海沿岸地域といった戦略拠点や機微な地域において顕著である。こうした状況からアサド政権は、特に東部と北部において広範囲に亘る地域や国境管理所の支配権を失うこととなった。

戦闘員の増加や戦闘能力の向上、より良質の武器の入手により、力の均衡は自由シリア軍にとっていっそう目に見える形で有利となっている。しかしながら、これは、空軍力や大量の砲弾を有している政府軍が火力面で圧倒的な優位を確保している現実を否定するものではない。一方、自由シリア軍は、依然として政府軍による上空の支配に影響を及ぼす有力な対空兵器を必要としている。革命勢力が、特に米国製のスティンガーミサイルのような肩から発射する携行式の対空ミサイルを手に入れれば、戦闘力のバランスを一気に覆して有利な戦闘を行うようになるだろう。

観測筋によれば、欧米諸国は、テロ組織に手に渡ることを恐れ、最新兵器のスティンガー・ミサイルを自由シリア軍に提供することにかなり躊躇しているという。このことから、SAM7やSAM14といったロシア製のミサイルを革命勢力に横流しされる可能性もある。なお革命勢力は、そもそもシリア政府軍の兵器庫に保管されていたこうしたミサイルを保有し、使用してきた。

(後略)

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( 翻訳者:西舘康平 )
( 記事ID:27342 )