■ラービア広場のエジプト、そして空想の中のエジプト
2013年7月6日『ハヤート』
【カイロ:アミーナ・ハイリー】
(その広場の)入り口と出口に検問所がある。鉄のバリケードは、地下鉄のトンネル工事現場のフェンスや、交通局の所有物、鉄や木の柵などが利用されている。保安部隊は、防御と攻撃、あるいは攻撃と逃走が容易にできるような運動用の衣服と軽い靴や動きやすいスリッパを着用している。
頭部に関しては、多くがキックボクシングやカンフーなどの競技用のヘルメットで守られている。建設現場の建設作業用のヘルメットで守っている者もいる。モーターバイク用のものを着用している者もいる。
その傍らではある人が、エジプト当局が閉鎖した宗教チャンネルではない他のチャンネルを通じて「ラービア広場」で起こっていることを注視するためのバナーを掲げていた。また他の者は、ムハンマド・ムルスィー氏の功績のリストを、まるで彼らがその功績を知らないかのように仲間たちに配布している。彼らはすでにそれらの功績を暗記しているはずなのだが。
彼の対抗者に対し訴訟を起こした最初のアラブの大統領である。
彼を逮捕した将校を罰さず、保護した最初のアラブの大統領である。
その在位中に自身の息子が兵学校の入試に落ちた最初のアラブ指導者である。
毎週金曜日にモスクで祈る最初のアラブの大統領である。
その家族がエコノミークラスを利用する最初のアラブの大統領である。
姉妹の海外での治療を国費で行なう事を拒否した最初のアラブの大統領である。
息子が海外で働いている最初のアラブの大統領である。
賃貸アパートに住んでいる最初のアラブの大統領である。
というのも、残りのどのテレビチャンネルも、ラービア・アダウィーヤ広場での出来事を何も報道しないからだ。そこでは解任されたムハンマド・ムルスィー氏のために(支持者が)宿営し、指導者のために「イスラームの勝利」のための彼らの指導者によって意欲を持って行動を行なっている。そして、そのラービア・アダウィーヤ広場の住民達と広場からのさえずりは、敵対者に対抗し、合法性とイスラーム法とイスラームを支持するその広場で、何が起こっているかを知る唯一の情報源なのだ。
(中略)
昨日、ナセルシティ地区(カイロ東)のカイロ・スタジアムは、治安警戒体制に入った。そこでは、ラービア・アダウィーヤ広場周辺の治安を確保するために、軍の装甲車や中央治安局のバスが配置されている。
「ラービア」広場でも事態は進行している。ジハードの旗や黒いバナーが広場の中で振り回され、ジハードを求める声も抗議者たちによって繰り返されている。また、幹部たちや長老たちは正当性の防御のために兜(かぶと)の緒を締めている。もし殺されたなら殉教者であり、もし殺されたなら聖戦士だ。
そしてラービア・アダウィーヤ広場やその他の場所でのイスラーム実現のためのジハードと、エジプトのその他地域での祖国解放のための抵抗運動のなか、カイロ上空には、軍の飛行機が旋回している。カイロでは市民達が敬意や称賛、感謝を示す国旗を振る一方、「ラービア」広場のデモ隊が、嫌悪や怒り、威嚇を示すジハードの旗を振っている。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:尾崎仁美 )
( 記事ID:30717 )