エジプト:ムバーラク元大統領に無罪判決、このまま維持なるか
2014年12月01日付 al-Hayat 紙
■ムバーラク元大統領無罪判決維持の試み
【カイロ:ムハンマド・サラーフ】
エジプトの現政権は、フスニー・ムバーラク元大統領とその側近に対して下された無罪判決を、このまま維持しようという構えだ。同元大統領らは、デモ参加者らを殺害したとして罪に問われていた。判決は政権と革命参加者らの溝を広げ、現職のアブドゥル・ファッターフ・スィースィー大統領が確立しようとしている安定は、まだぐらついた基盤の上にあることを露呈する結果となった。
ムバーラク元大統領とその側近に対する無罪判決に反対するデモが、各地の大学で行われた。これら一連のデモは、司法の決定に反対してタハリール広場でデモが行われた際に、デモ参加者と警察の間で衝突が発生し、死者2名、負傷者13名の犠牲が出たことを受けて行われた。同広場は軍部隊がすでに封鎖した。非イスラーム主義のデモ参加者は、「国民は打倒政権を望む」というあの有名なシュプレヒコールを繰り返し叫んだ。これが叫ばれたのは、スィースィー大統領が政権の座に就いてから初めてのことだ。
カイロ大学、アレクサンドリア大学、ザカーズィーク大学をはじめとする複数の大学で数百人の学生がデモを実施し、警察は反対運動を鎮圧するべくこれらの大学に突入した。一方、ムハンマド・ムルスィー前大統領の退陣を支持した諸政党も、今回の無罪判決を強く非難した。「立憲党」は、ムバーラク元大統領とその側近の無罪判決について、「彼らは通常の刑事裁判で裁かれるべきではないことが明らかになった」との見解を示した。同党は声明を発表し、「2011年末に裁判が開始されてから、検察は、容疑者が何百人ものデモ参加者を殺害した罪について有罪判決を下すのに必要な証拠を提出するにあたり、特殊治安機関は協力しないだろうと疑っていた」と述べた。同党はまた、「今回の判決は、証拠が隠蔽されうやむやにされた結果、その使命を根本から果たすことが出来なかったと言える。通常の刑事法も、ムバーラク元大統領の罪を裁くにあたっては機能しなかった」と述べた。さらに同党は、「今後は他の政治勢力や法律の専門家とともに、ムバーラク元大統領が弾圧と偽装選挙により過去30年に渡ってエジプト人に対し犯してきた罪を追及していきたい」と表明した。
(後略)
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:36050 )