イラク:米国はイランの介入による「宗派対立」誘発に懸念を表明することで、「宗派主義」を助長
2015年03月05日付 al-Hayat 紙
「ダーイシュ」がサイト上に配信した写真、ティクリート近郊での軍備増強の様子
「ダーイシュ」がサイト上に配信した写真、ティクリート近郊での軍備増強の様子

■ティクリートでの「宗派騒乱」への米国の懸念

【バグダード:本紙】

ダーイシュは、3日前から戦闘が続くティクリート市付近のアラム町に向かう軍事車両の車列の写真を配信し、イラク軍の攻撃に対抗するため、武装集団への支援がなされていると強調した。一方、イラク軍は昨日、同地での戦闘開始以降、97町村を解放したと宣言した。

こうしたなか、マーティン・デンプシー米統合参謀本部議長は、ティクリートでのダーイシュへの攻撃においてイランが果たしている役割が、スンナ派との宗派対立をもたらさないのであれば、「前向き」なものになり得るだろう、と発表した。

イランの民兵組織「バスィージ」中央委員会議長マフディー・ターレブ氏は、「シリア、イラク、レバノン、そしてイエメンにおける戦闘員の支援のためにわずかな食糧も犠牲」にするようイラン国民に求めた。

一方、デンプシー氏は米上院軍事委員会の前で証言を行い、「シーア派武装グループに対するイランの支援は、新たに始まったことではないが、現在より明確になっている。また月曜日に始まった攻撃は、2004年以降のイラクにおける最も明確な干渉を意味する」と述べた。同氏はさらに、「ティクリート市奪還作戦を遂行する合同軍隊の3分の1は、イラク軍第五師団、残りの3の2はテヘランが支援するシーア派義勇軍である人民動員隊からなる」ことを理由として挙げ、この干渉がティクリートで「宗派対立」を引き起こすことを米国が懸念していると明言した。

アシュトン・カーター米国防長官もこの懸念を指摘するとともに、攻撃が「忌まわしい宗教間抗争の亡霊を目覚めさせること」に繋がらないように希望すると述べた。

イラク政府は昨日、米高官の声明にコメントしなかった。しかし、ハイダル・アバーディー首相は先の月曜日、国会で「人民動員隊は正規の軍隊である。政府は各地の解放後、日和見主義の行き過ぎを許さない。また、国家の範囲外でのいかなる 民兵も許可しない」と強調している。

イラクの部族長らもまたイランの介入による懸念を表明したが、ティクリートの戦いはスンナ派の姿勢に分裂をもたらしている。

(後略)

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( 翻訳者:八巻葵・城戸優希・兵頭輝夏 )
( 記事ID:37048 )