メタリカのベーシストがっくり、「ジョコウィ」に贈ったベースが「賄賂」
2013年06月06日付 Kompas 紙
メタリカのベーシスト、ロバート・トゥルージオから贈られたベースを披露するジャカルタ首都特別州のジョコ・ウィドド知事(通称・ジョコウィ、写真:右)(2013年5月3日金曜日、ジャカルタ州庁舎)
米国の音楽プロデューサー、ジョナサン・リウは、自らがジャカルタ首都特別州のジョコ・ウィドド知事に贈ったベースが汚職撲滅委員会(KPK)に没収されたことで、このベースにサインをしたロックバンド・メタリカのベーシスト、ロバート・トゥルージロが落胆しているという。
「シェンカーとロバートはがっかりしている、くだんのベースは『袖の下』などではないのに、国による没収はありえない」と、去る5月30日、ジョナサンはKompas.comの取材に答えた。
シェンカーとはジョナサンのアメリカでの仕事仲間で、メタリカのベーシストであるロバート・トゥルージロと組んで演奏をしていた。ウィドド知事の熱心な支持者であるジョナサンは、シェンカーやロバートと親密な間柄にあることから、ロバートの直筆サインの入ったベースを入手して知事に贈った。
ジョナサンによると、メタリカのメンバーはとりわけコンサートが終わった後などにギターやベースといった楽器をファンにプレゼントすることがよくあるという。ジョナサン自身もプレゼントは純粋にファンとアイドルの交流の一環で、それ以上のものではないと認識している。
「ロバートは、自分はすでに有名人だから贈賄行為に手を汚す必要などないと言っている。シェンカーも同じだ。彼となるともっと有名だ。ボノやスティング、アンジェリーナ・ジョリーらとも友達なのだから」とジョナサンは話している。
アメリカでもKPKによるベース没収の一件は報じられていると、ジョナサンは残念がっている。彼自身もロバートに対して、自らがベースにサインするよう持ちかけたことがもとで深刻な法的問題に至ってしまったことから気まずい思いをしているという。
「記念品というものを大げさに取りざたするべきではないだろうに。ロバートはもっぱらアイドルとそのファンという関係においてよくベースのプレゼントをしているのだから。私もロバートに対して申し訳ない。今までこんなことはなかったのに」と悔やんだ。
ウィドド知事がメタリカのベーシスト、ロバート・トゥルージロからアイバニーズ製のベースをプレゼントされたことはすでに報じられている。知事は去る5月3日にプレゼントの受け取りを公表していた。
KPKの贈収賄監視責任者のギリ・スパルディヨノ氏はこのベース贈与には贈収賄と紙一重の利害が絡んでいると指摘している。KPKはベースに書かれた"giving back(お返しを)"という文言を知事からの見返りを期待するものであると解釈。ベースは国によって没収されるところとなった。
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( 翻訳者:山崎郁弥 )
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