ベトナム経済の行方、下半期の動向が鍵
2013年07月11日付 VietnamPlus 紙

英金融大手HSBCのベトナム現地法人・HSBCベトナムは7月11日、2013年第3四半期のアジア地域のマクロ経済と経済展望に関する報告書を公表した。報告書はベトナムについても言及しており、次のように分析している。
 それによると、ベトナムでは、銀行システムに対する不安が引き続き経済活動に重くのしかかっていることなどから、国内需要が冷え込んでいる。また、HSBCの製造業指数PMIや消費者物価指数CPIなどの主だった景気指標やその他の貿易統計は、そうした鈍い国内の経済成長を反映したものとなっている。
 一方、今年第1四半期に昨年同期比4.8%だったGDP成長率は、第2四半期には5%に改善した。報告書は、「今年、経済は緩やかに成長し、昨年の5%から今年は5.1%に達するであろう。しかし、効率的でない銀行システムや国有企業に関する問題など、経済の発展をさまたげる深刻な課題を解決するための必要な改革が行わなければ、ベトナム経済は今後10年、大きな成長は期待できないであろう。」としている。
 報告書はまた、ベトナムが今後10年、このまま停滞の空回りをし続けるのか、それとも、かつてのような高度成長の勢いを取り戻すことができるのかは、今年の下半期の動向にかかっている、と指摘している。
 現在、既にいくつかの改善の兆しも見え始めている。例えば、政府が資産管理会社(VAMC)の設立を認可したことが挙げられる。これは、金融機関関連資産の管理に関する政策の大幅な方向転換を示すもので、これまでは考えられなかったことである。
 一方、電子機器や繊維、衣料品の生産は好調だが、その輸出は世界的な物価圧力の低下の影響を受けている。
 HSBCは、この傾向はあと数カ月は続くとしている。また、輸入は拡大しているものの、主に部品の輸入によるもので、消費関連の輸入は依然として低迷している。
 インフレは、国内需要の冷え込みと、世界的な物価圧力の低さもあり、とりあえずは制御可能の範囲内にある。しかし、経済成長の減速により、歳入が滞れば、政府は公共サービスの料金を値上げする可能性もある。
 HSBCは、そうなると、金利をさらに引き下げるチャンスは少なくなる、としている。国家銀行(中銀)は、オープン市場(OMO市場)の金利を2012年末の7%から6%に引き下げたばかりである。

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( 翻訳者:加藤俊哉 )
( 記事ID:233 )