国を挙げての停戦和平交渉中にミャンマー国軍、国際舞台に(9-42-1-1,2-1,19-3)
2013年10月28日付 The Voice 紙
改革の中でもとりわけ特筆すべき分野として、ミャンマー国軍が国際舞台に登場する準備をすすめている点が挙げられる。軍政期にミャンマーに対して制裁封鎖をしていた英国、アメリカ、オーストラリアなどの国が、テインセイン大統領率いる新政権下では、軍事に関る連携をし、合同訓練を申し入れており、ミャンマー国軍が再び国際舞台に登場する道が開けた。
そうした中で直近の提案は、少数民族武装組織と和平交渉をしている時期と重なっているので、少数民族武装組織の一部はそのことに懸念を抱き注視している。
「本当は、やるべきではない。少数民族武装組織とまさに停戦しようとしているこの時期に軍の力を強化することは良い兆候ではない。」とPNLO(パオ民族解放機構)の書記長ウー・クントーマスが批判した。
このように軍事力増強の為に国軍にだけ特別に支援することは、すべての土着民族が参加する連邦国軍を目指すという趣旨に反することになりかねないと同氏が警告した。
こうした少数民族武装勢力の懸念を払拭するために、かつてビルマ式社会主義時代に、ビルマ国軍高官を、有名なシンドハースト士官学校で訓練し指導した英国は言う。
「英国は堅固で強力な国軍を所有している。その国軍は、民主制度の一部分であり、ミャンマー国軍の高官が直接触れてその方法に学ぶよう、研修を計画したものである。」かつての植民地ビルマの宗主国である英国の在ミャンマー大使館大使が、少数民族武装組織の憂慮を晴らそうとしてそう述べた。
ここ数日、連邦平和実現委員会と軍の問題を協議しているKNPP(カレンニー民族進歩党)副議長ウー•クーウーイェは「この問題を能書きどおり受け取ることはできない。国全体での停戦がまとまらないなら、少数民族武装勢力に大きな影響を及ぼすことも考えられる。結果的に和平を遠ざけることにもなる。」と見解を述べた。
「関係改善というが、軍事的観点から見て、型どおりには受け取れない。軍が次に何をするのか見極めなければいけない状況である。」とUNFC(連邦民族統一協議会)副議長ウー・ソーデーヴィスターカボーが言った。
ミャンマー国軍への諸外国からの支援を、一部の少数民族武装組織は心配して見ているが、英国、アメリカ、オーストラリア、インド、ロシア、中国などの地域内の国々と世界的に軍事力が強大な国が、ミャンマー国軍の訓練を支援をすると言っている。
テインセイン大統領が2013年7月15日英国を訪れ、デービッド•キャメロン英国首相及びフィリップ•ハモンド国防大臣と会談した際に、両氏はミャンマー国軍が民主化実現において十分に責任を担える国軍になるために、英国軍が軍事的に協力し、軍事訓練を行うことを提案した。
その他にEUで影響力のある英国政府が、EUが禁止している間もミャンマーに500万ドル(330万ユーロ)の軍事行動と救助用に使用する武器の輸入許可を与えると2013年7月17日に発表した。
同様に、唯一の超大国であり且つ、最強最新の国軍を持つアメリカ合衆国は今年前半に、ミャンマー国軍が紛争を処理し解決することができるよう、合同訓練を行うことを提案した。
ミャンマー国軍を近代的で熟練した国軍にするために、アメリカ国軍は訓練を行うが、それは武器弾薬を用いたものではないと、在ミャンマーアメリカ大使館のデレク・ミッチェル大使が言った。
ミャンマーに対して軍事的経済的封鎖措置をとってきた軍事大国が軍事的支援を再開するという時期に、両国の国軍が互いに連携協力するという同意を得るため、国軍防衛参謀長ミンアウンフライン上級大将は、隣国のインド、中国などの国を周った。
今月、ミンアウンフライン上級大将の中国訪問時に、国境地帯の安全に関し連携を強め、協力して行く旨、中国国軍参謀長Fang Fenghui将軍と署名を交わした。
上記の合意には、両国の国軍は合同訓練とミャンマー国軍高官を中国での軍事[原文:機械]関連の研修に派遣することなどの事項が含まれていると、人民日報が伝えた。
その同意事項には両国の国境にミャンマー反政府武装組織を置かないことも含まれると人民日報は報じている。
武装組織の中で、KIA(カチン独立軍)とワ族武装組織は中国と直接接触しているため、中国の同意なしでは立ちいかない可能性もあり、中国にとっても[何が出てくるかわからない]伏せられたカードになっていると中国問題研究者の一部は見ている。
その他にもミャンマーと国境線を長く接しているインドも、ミャンマーとの国境に1964年から拠点を置いているインド反政府叛徒をミャンマーは受け入れないこと、国境地帯の安全性を高めることを、インド国防大臣A•K•アントニー氏が今年1月にミャンマーを訪れた際、ミャンマー政府と協議している。
両国の国境地帯の安全強化と反乱軍のテロ行為撲滅作戦に関するインド-ミャンマー国境地帯二国間会議を今年7月23日から25日まで、インドのインパールで開催した。
海軍参謀長トゥヤテッスウェ中将は今年7月末にインドを訪れ、インド国軍がミャンマー海軍の高官に訓練を施し、沿岸パトロール船を造るために支援することで、インド国軍と合意した。
同じく、軍政権時代から繋がりがあったロシアに国軍防衛参謀長ミンアウンフライン上級大将が今年9月に行き、ロシア国防大臣Sergry K Schoigu氏と会談し、両国国軍の協力を促進し、ロシアの軍事技術を学ぶこと、そのためにミャンマーからの留学生にロシアが奨学金を出すことで合意した。
ミャンマーの少数民族武装組織と、この数カ月のうちに全土の停戦に署名すると言われている中、ミャンマー国軍が世界に進出することに対し、懸念を示す立場があるが、他方でそれを好意的に見る人物もいる。
ミャンマー国軍の国際的関係強化を望む人物とはKIO(カチン独立機構)と政府間の和平交渉の橋渡し役をしているウー・ラマイングンヤーである。
「彼らはやるべきことをやっていると思う。国の首脳陣がやっていることであり、国家が必要としている軍事力向上のためであれ、何であれ、和平[構築]を傷付けはしない。」と同氏は言う。
このように諸外国と国軍との関係改善、ミャンマー国軍が近代的国軍になるための支援は、和平交渉を損なわせるものではないとKNU(カレン民族同盟)の第7旅団ゾーショー少佐が言った。
「彼らが軍事的に協力し合うことが、内戦を長引かせることにつながるとは考えていない。」と同氏は言う。
ミャンマーは軍事力の強大な2大国の間に位置しているという意味で、国軍の能力向上、民主主義と合致する近代的国軍となるための支援は、武装組織との和平交渉にとって危険であるはずがないとKNPP副議長ウー•クーウーイェが指摘した。
ミャンマー国軍の近代化促進のため、諸外国による接触、関わりができつつあるとき、ミャンマーが位置するアジア-太平洋地域の国同士の緊張は高まり、軍事費は驚異的に増大、世界の軍事貿易を盛んにさせていると、国際軍事費研究所が出した「貿易バランス(The Balance of Trade)」が明らかにしている。
( 翻訳者:田崎巧 )
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