日本政府、浄化槽1000基を寄付 トバ湖浄化へ向けて
2013年12月20日付 Kompas 紙
北スマトラ州のトバ湖における日本と合同の視察・調査に関する説明を行う北スマトラ州生活環境庁長官・ヒダヤティ博士(12月18日)
北スマトラ州のトバ湖における日本と合同の視察・調査に関する説明を行う北スマトラ州生活環境庁長官・ヒダヤティ博士(12月18日)

プマタンシアンタル、kompas.com
 日本政府は同国のインドネシア・北スマトラ州にあるトバ湖水域の汚染された廃水の処理に対してインドネシア環境省を通じ援助を行う。援助としてトバ湖周辺の家屋や工場が密集するいくつかの地域に浄化槽1000基が設置される。
 この計画は去る12月17日、国際協力機構(JICA)のアベ教授とウエダ教授が環境省を代表してトバ湖で調査を行った際、調査に随行していた北スマトラ州環境局のヒダヤティ長官に伝えられた。
 ヒダヤティ長官によると、この浄化槽設置計画はインドネシア側が日本に招かれ、日本の環境省が河川や湖への廃水の汚染物質を管理しているのを視察して以来の計画であるという。
  「私はかつて日本に招待された際、日本の環境省は千葉にある湖で調査を行っており、湖中のリンの量をコントロールしていた。私は同じことが北スマトラ州では行えないことはないはずだと思った」と同長官は述べた。
 ヒダヤティ長官によると、北スマトラ州も含め、インドネシアでは廃水の処理がまだ適切に行われていない。トバ湖は北スマトラ州のシンボルであり、生活廃水に起因する汚染から守られなけれればならないという。さらに湖の周辺ではホテル産業、レストラン産業、畜産業、漁業、林業など多くの産業が営まれるだけでなく住宅地もあって、直接廃水を湖に垂れ流している。
「そのため日本の持つ浄化槽の技術はトバ湖周辺に適用される。この浄化槽は既に環境のことも視野に入れている。最悪の状態で浄化槽に入ってくる廃水であっても、生物化学的酸素要求量(BOD)という水質指標で20というよりきれいな状態で排出される。BODの全国平均は100ぐらいだ(BODの数値が大きいほど水質が汚染されている)。そのため、湖や川に排出されるものは生物にとっても安全である」と同長官は説明。
 「初期段階では、トバサ県のアジバタやシムラウングン県のパラパットで調査が行われ、その後、この住居と産業が密集した地域に500基の浄化槽が設置される予定。さらにサモシル県のパングルラン地区やトバサ県のポルセアにおいても同様の計画がある」とヒダヤティ長官は述べる。
 「私たちの狙いは、2014年にはそれらの浄化槽の設置を終えること。実は、テビン・ティンギ市の、市内でもパダン川に廃水を流す伝統的な市場がある地域ではすでに着手されている。そこには10基が設置される予定で、すでに調査が行われている」と同長官は続けた。
 ヒダヤティ長官はこの日本側の無償援助は、直接的な資金援助ではなく、計画実施の援助であるという。「私たちは資金援助ではなく、計画を受け取った。現場での作業工程は日本側に任せてあります」と同長官は述べた。
 トバ湖における汚染レベルの問題を考えるにあたって、ヒダヤティ長官は居住区や工業地区など地域から生じる汚染水のおよそ44%を削減しなくてはならないと表明。一方、トバ湖の水域には、地域住民の所有する生け簀がおよそ8400個、アクアファーム・ヌサンタラ株式会社の所有する484個の生け簀が浮いている。このため、トバ湖の富栄養化、すなわち水界生態系での過剰な栄養素の出現による水質汚染を防ぐために、排水を44%削減しなければならないのである。
 なお、日本のチームが行った調査には、北スマトラ生活環境庁の職員数名のほか、北スマトラ州の環境活動家であるドゥウィ・タルナ氏やフェルナンド・シタンガン氏らが同行した。

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( 翻訳者:小倉淳寛 )
( 記事ID:482 )