ミャンマーの金市場新局面を迎える(10-10-1-1,3-2,4-21)
2014年03月17日付 The Voice 紙

 
 2015年までに、ミャンマー中央金市場を作り、国際市場と連動させようと、ミャンマーの金事業主協会が先頭に立ち尽力している。世界の只中に進出しようとするミャンマーの金市場への新たな歩みは、慎重に踏み出きすべき一歩でもある。
 国外の金の輸入許可を得るために1年半ほど前から政府に申請しており、国外へ合法的に金を輸出する許可が得られたなら、国際市場と連動することのできる新たな中央金市場が出現すると、ミャンマー金事業主協会の事務局長であるウー・チョーウィンが話した。
 「2015年にASEAN加盟国間で[自由]貿易が許可されれば、そこに金も含まれるというので、国外に金を合法的に輸出する許可を申請している。議会へ提出したのはすでに2、3回ほどになる。鉱山法もまだ終わっていない。5月頃には終わる運びと言っている」とヤンゴン管区金事業主協会長のウー・ミョーミンが話した。
 国外への金の合法的な売買許可が得られれば、現在の市場制度に従って販売する以外にも、諸外国と同様、株式とも連動させていくことができると、同氏が説明した。

<目的> 
 中央金市場が設立されれば、銀行内に保証金を預けた口座を開設していることが必要となる。銀行を介して支払うという、誰でも自由に購入することのできる新たな市場を形作ること、まずそれを目的としている。
 第二の目的としては、きたる2015年にASEAN加盟国間の自由貿易が実現されても、国内の金を諸外国が買いたたくことができないよう、国内の金を国際市場と連動させ、諸外国と渡り合える新たな金市場制度を創設することである。
 そのために、国外から技術を導入し、国際金市場と同様の販売制度、株式証券内で金を販売する制度、グラム重量による販売制度など、徐々に改革を実行に移していくことを目指していると、ウー・チョーウィンが話した。
 
<現在の制度>
 ミャンマー国の主要な鉱山物である金を国内で精製し、多くの金商人らがシュエボウンダー通りにある金事業主協会内で国際的な金価格に基づき売買を行う制度が、ミャンマー社会主義計画党時代から今日に至るまで金卸売市場として存在している。
 彼らが売買している形式は、金商人たちの互いの信頼に基づいているため、しばしば国際的な金価格の変動の中で、売り手と買い手の間の約束不履行も起こっている。
 金の重量測定も、チャット、ペー、ユェー[訳者注:それぞれ約16グラム、1グラム、136ミリグラムに相当]の制度しか用いていないため、諸外国と同じようにグラムではかるよう、ミャンマー国内の金事業主らが2.5グラム、5グラムなどの各種グラム単位での販売をすでに国内で始めている。
 金鉱山の採掘権および金塊の販売権は国家に納税することで合法的制度として許可されているものの、国外への金の全面的な販売許可はまだ出されていない。
 
<利点>
 国外で合法的に金を売買する許可が得られれば、国内の金事業主らのほかにも、金細工職人や技術者らにとっても売買のチャンスが多くなり、国内経済への大きな助けとなり得るだろうと、ヤンゴン管区金事業主協会長のウー・ミョーミンが話した。
 一部の経済学者らが懸念している通り、国外にトン単位で多量の金が流出する可能性はあるものの、金は国内市場の需要があれば必要なだけ再補充できるため、ルビーや翡翠などの他の鉱山物のように、再購入できずになくなっていくような物ではないと、同氏が説明した。
 諸外国では、金を株式市場とつなげ、利用する必要がある場合、銀行が間に入り売却することがあり、安心できる市場として存在している。国内でも、そのように銀行が間に入る保証制度の一つが出現してくれば、有益であろう。
 現在でも国外にブラックマーケットを通じ金が出回っているため、合法的に許可すれば、国家にとって多くの税金が得られるようになり、国家経済が発展していく可能性がある。また、一年に金がどれほど出回っているかという数値についても、現在よりも明確な答えが出るようになると、ウー・チョーウィンが話した。
 諸外国と連動させることで、国外に金が出て行くだけでなく、価格によっては国内に入ってくる金もあるであろう。現在の闇市場においても、国外から価格の安いときだけ金が国内に流入しており、国外価格が安ければ国外に金を売るのみで、国内の金市場に悪影響を及ぼすことはないと、金事業主のウー・ゾーアウンが自身の見解を述べた。
 
<余波>
 しかし、ごく最近の新華社通信の記事によれば、中国は1年の金の需要が1276トン以上あると記されており、現在のミャンマーの金保有高は7トン少々しかないため、近隣国と比べると非常に少ない状況にある。
 国外に合法的に金を売る権利を、政府がいつどのような形でどう許可するかということはまだ正確にはわからないが、諸外国と直接売買をするならば、良い結果だけでなく、起こり得る悪い結果も考えておく必要がある。
 市場原理に基づくと、低いところから高いところへ流入するため、市場購買力が高い国へ流れていく見込みがある。
 以前のような金本位制、金を抵当に入れる制度でないため、現在ミャンマーが使用しているチャットの価値を国際通貨と照合すると、必要な国内の通貨準備高も約80億ドルしかない旨を、経済学者のアウンコーコー博士が指摘した。
 「通貨準備高と金保有高も8トンということは、現在の相場で考えると約299億ドルほどであるだろう。これは政府が保有する金の規模であるといっており、国内にどれほどの金があるかということは今のところ誰も推定することはできない。ミャンマー国民の気質として、金価格が高いと売りに出すというところがある。お金があるときに買うことが多い。ほかに投資している分野はそう多くはない。家、庭、土地などといった不動産は皆が買うことはできない。買ったとしても、金のように簡単に売ることはできない。手続きが煩雑だからだ」と同氏が話した。
 今のところ国内の銀行制度がまだ軌道にのっておらず、株式市場の姿も明確に見えない状況で、金のみを可能な限り集めていたミャンマー市場にとっては、懸念もある。
「金を蓄えると言う場合、どれくらいから始めるかというと、1ユェー、1ペーから集めている。いつの日か先ほどから話している我々の国の家々で蓄えた金が国外に流出して行く可能性があるため、私は心配しているのだ」と同氏が話した。
 貿易においても、ある程度までは自由に輸入するようになってきており、国際経済と自国経済が徐々に連動してきているため、金の輸出は当分の間は様子を見て待つべきである。
 東京市場が閉鎖されているとき、ニューヨーク市場が閉鎖されているときなど、株式市場一つ一つ連動しているが、まだ全く繋がりをもっていないミャンマーにとって、困難は多々ある。
 そのため、考えることは山積みだ。いつ許可を得られるかよりも、どのような形式で許可されるかということの方が重要である。
 地理的に金の購買力が最も高い中国とインドの間にあるミャンマーでは、ミャンマー国民が大事に身につけて蓄えてきた金の市場は、新たな局面を迎えている。
 アウンコーコー博士は、金市場が変化すれば、国内の家、庭、土地など不動産を含む他の資産にも変化が生じる可能性を以下のように懸念している。
 「金市場が揺れ動くということは、その市場に含まれるものすべてがそれに従って揺さぶられるということ、それが心配なのだ。」

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( 翻訳者:酒徳 結 )
( 記事ID:607 )