ベトナム外務省は5月7日、中国がベトナムの海域で違法に石油掘削装置を設置した件に関する国際記者会見を開いた。記者会見で、ベトナムの関係機関の代表らは、ベトナムの主権に対する中国側の重大な過ちを指摘する分析をした。
　VietnamPlusは、記者会見でのチャン・ズイ・ハイ国家国境委員会副委員長の分析を紹介する。

1．2014年5月1日5時22分、ベトナムの関係当局は、中国海洋石油の深海石油掘削装置981（以下HD-981）と石油掘削作業船3隻がチトン島（ベトナムのホアンサ（西沙）諸島に属す）の西北から南に移動するのを確認した。石油掘削装置HD-981は、5月2日16時までに、チトン島の南、北緯15度29分58秒、東経111度12分6秒の地点に停泊。これは、ベトナムの大陸棚の外縁から80海里内、リーソン島から119海里、ベトナムの沿岸から130海里の地点。今回の中国の石油掘削装置の設置は、ベトナムの大陸棚を調査掘削するためのもので、多くの護衛艦が動員されている。現在、掘削装置を護衛する中国の船舶の数は、軍艦も含め、60隻以上に増加している。これらの船舶は、ベトナムの排他的経済水域および大陸棚で公務中のベトナムの法執行機関（海上警察および漁業管理局）の船舶に意図的に衝突し、関係者の身体や財産に損害を与えている。ベトナムの海上における法執行機関の代表が、現場の状況について、以下の通り、具体的に報告する。

2．ここ数日、ベトナム側は、上記案件について、何度も中国側に指摘し、交渉を行ってきた（その中には、ベトナム国防省の代表と在ハノイ中国大使館の武官との接触や、ベトナム石油ガスグループの社長から中国海洋石油（CNOOC）の会長兼社長への書簡の送付などがある）。特に、ベトナム外務省は、ハノイと北京において、8回にわたり、中国側と真摯に接触した。注目すべきは、ベトナムの大陸棚での石油掘削装置HD-981の非合法な活動に抗議するため、ファン・ビン・ミン副首相兼外相が5月6日午後、中国の楊潔篪国務委員と電話で会談したことである。また、これより先の5月4日には、ベトナム側の国境・領土に関する政府交渉団の団長であるホ・スアン・ソン外務次官が中国側の国境・領土に関する政府交渉団の団長である劉振民外務次官と電話会談した。また、同日、ベトナム外務省幹部は在ハノイ中国大使館の代表を呼び、抗議の外交文書を手交した。

（地図：ベトナムの排他的経済水域および大陸棚での違法な中国海洋石油の石油掘削装置HD-981の位置‐ベトナム石油ガスグループ提供）

3．上記の接触において、ベトナム側は次のように確認、強調した。「中国の石油掘削装置HD-981と護衛船が活動している地域は完全にベトナムの排他的経済水域および大陸棚にある。中国の掘削装置と護衛船の活動は、1982年の国連海洋法条約に基づくベトナムの主権的権利および管轄権に著しく違反し、2002年の南シナ海における関係国の行動宣言（DOC）、そして、ベトナムと中国の海上における問題を解決するための基本原則合意など、両国首脳間の他の関連合意に反するものである。ベトナムは、中国に対し、石油掘削装置および船舶をベトナムの海域から直ちに撤収するよう要求する。ベトナムは、チュオンサ諸島（南沙諸島）およびホアンサ諸島（西沙諸島）に対するベトナムの主権を確認する十分な歴史的証拠と法的根拠を持っている。また、1982年の国連海洋法条約に基づき、ベトナムの排他的経済水域および大陸棚に対する主権的権利と管轄権を有している。ベトナムは、中国に対し、チュオンサ諸島、ホアンサ諸島に対するベトナムの主権を尊重するとともに、排他的経済水域および大陸棚に対するベトナムの主権的権利と管轄権をも尊重するよう求める。」

4．ベトナムは、さらに、中国に対し、南シナ海における主権、主権的権利、管轄権に対する紛争を、国連憲章や1982年の国連海洋法条約を初めとする国際法に基づき、交渉や平和的な方法によって解決するよう提案した。

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（ 翻訳者:伊牟田梨加、梅原美希、川野目明日香、小泉里夏、山口里緒 ）
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